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求人サイトで保証制度を導入して利用者の負担を軽減する方法

求人サイトで保証制度を導入して利用者の負担を軽減する方法のイメージ

人材不足が深刻になっている日本社会。有効求人倍率もどんどん上がり、完全な「売り手市場」となっています。正社員だけでなくアルバイトの求人も同様で、企業はなかなか人材が見つからない状況です。

そんな雇用情勢を象徴するかのような話題がYahoo!ニュースで取り上げられていました。

従業員にバイトが占める割合の高い飲食店やコンビニエンスストアなどでは、深刻な人手不足も問題だ。時給1500円でも応募がないというケースがある一方、せっかく採用したアルバイトがわずか1か月でやめてしまうということも珍しくない。

引用元:深刻な人手不足が招くバイトの過保護化と店長受難

この記事にあるように時給を上げても応募がなく、たとえ採用してもすぐ辞められたのでは困ります。企業にとって採用活動は大きなリスクになりつつあるといっても過言ではないかもしれません。

求人サービスを提供する側としては、できるだけ労働者と雇用者の双方が満足できる条件で雇用契約を結んでほしいと思いますし、アルバイトと言っても長く働いてほしいと思います。

求人サイトの場合、すぐ辞めるほうが再利用につながり好ましいように思う方もいるかもしれませんが、顧客満足度を考えると離職率が低いほうが求人サイトの評価(利益)にもつながります。

ですので、企業には長く働いてくれる人を、求職者には長く働ける職場を紹介できるのが一番です。しかし、求人サイトで行えるのはあくまで求人紹介であり、雇用条件や内情に関わる部分まで対応することはできません。

そこで求人サイトのサービスとして「保証制度」を考えてみました。既に導入している求人サイトもありますが、アイディアとしてまとめたいと思います。

目次[非表示]

採用後に早期退職した場合は返金する(企業向け)

以前、企業に行ったアンケートでも「返金保証や保証制度のようなものがあれば安心して求人掲載の依頼ができる」といった声がありました。

求人サイトで求人掲載したことがある企業に聞きました
求人サイトで求人広告を掲載したことがある企業の担当者とやり取りをし、アンケートに回答してもらいました。一定数の回答をいただけましたので、一部...
求人サイトで求人掲載したことがある企業に聞きましたのサムネイル

正社員でもアルバイトでも採用してすぐ辞められては大きな損失です。また一から求人活動を行わなければいけないので、時間もコストもかかります。

そこで「採用後、○日以内に退職した場合は返金します」といった早期退職に対する保証制度を導入します。指定日以内に退職した場合はサイトの利用料金を返金するのです。

この制度があれば企業も安心して求人活動を行えます。仮に早期退職されたとしても改めて募集することができるので、損失を最小限に抑えられます。(面接や検討をした時間は損失ですが)

成果報酬型のビジネスモデルを採用している求人サイトではよく導入されている保証制度になります。逆に言えば成果報酬型を採用するならできるだけ保証期間を設けておいたほうがいいでしょう。

日数は1ヶ月(30日)、3ヶ月(90日)、半年(180日)が保証期間としてよく採用されています。ただし、あまりに期限が長いと求人サイト側も収益を得る機会が遅れるので、事業体力を考えながら検討しましょう。

ひとつ注意を挙げるとすれば、虚偽の申告です。実際には辞めていないのに辞めたと伝えて返金を要求する行為です。求人サイト側で内情まで監視できないので、悪意のある企業ならこういった虚偽の申告をする可能性があります。

それを避けるために、企業・求職者双方にメールや電話などで確認したり、返金申請書を提出してもらうなど、手続きを細かくする必要があるかもしれません。

ただしそれでも完全には防げません。そこで次で説明する求職者向けの保証制度が役に立ちます。

採用後に早期退職した場合は見舞金を支払う(求職者向け)

早期退職は企業だけでなく求職者に対しても負担が大きいです。また一から職探しをしなければいけません。面接に行く際の交通費や仕事で使う備品を揃えるためのお金が必要になります。

そこで早期退職をした求職者に対して見舞金を支払うのです。見舞金があることで改めて求職活動をする活力になりますので、求人サイトの利用も促進されます。

また、上記で説明した企業に対する保証制度についても、退職した求職者(労働者)に対して見舞金を支払うことで「辞めた証拠」にもなります。返金を求める虚偽の申告を避けることができます。

見舞金の支払いについては企業の保証制度と同じように日数制限をし、見舞金を支払う退職理由を決めたほうがいいでしょう。退職理由は人それぞれありますが、どちらに退職原因があるかで大きく違います。

たとえば「募集条件と違っていた」「上司のパワハラ・セクハラがひどい」のなら正当な退職理由です。しかし、「仕事にいくのがめんどくさくなった」「家の都合で働けなくなった」だと自身の都合になります。

見舞金目的で退職を繰り返す利用者を避けるためにも、退職理由の確認と制限を設けた上で保証制度を導入すると良いでしょう。

求人掲載後に応募数が○件以下なら割引(企業向け)

求人サイトに掲載したからと言って必ず応募してくれる人がいるかはわかりません。特に新規求人サイトや小規模の求人サイトはアクセス数自体が少ないので、多くの求人応募を期待することは難しいです。

そんなときに「応募数が○件以下なら掲載料金から割引」のような保証制度を導入するのです。そうすることで小規模の求人サイトであっても試しに掲載しても良いという企業が出てきます。

ちなみに採用数ではなく応募数にするのがポイントです。採用数だとシステム上では不採用にしていても、実際には採用していたなど不正使用される可能性があります。

応募数であれば求人システム上で数を計算できますので、不正を防止することができます。採用したか否かを確認する手間もありますので、応募保証・応募割引という制度のほうが導入しやすいように思います。

採用がない求人情報を目立つ位置に表示(企業向け)

いくら応募数があっても採用が決まらなければ意味がありません。応募数が多くても企業の担当者は対応に追われて大変です。面接をする側のコストも負担です。

ですので、できれば1回の求人掲載で最適な人材が見つかって欲しいのが本音だと思います。しかし、求人にはタイミングがありますので、なかなか企業の思惑と求職者の希望が一致しないこともしばしばです。

1度募集を出して採用者がいなかった場合、2度・3度と募集を出し続けるのはつらいです。いくら成果報酬型のビジネスモデルにしていても、前述の通り担当者の手間がかかります。

そこで採用者が見つからなかった求人情報は求人サイトの目立つ位置に表示する、という保証制度を導入してはいかがでしょうか?JOB-PLACEの機能で言えば、「おすすめ求人」設定しても良いと思います。

おすすめ表示されていることで新着求人と同様に注目をあびることができます。以前応募していた人や見たことがある人は応募しないでしょうから、タイミングが合った求職者から応募があるかもしれません。

1度駄目だった求人情報もフォローできるような仕組みがあれば、求人サイトに信頼性を感じてもらいやすくなるのではないでしょうか。

断られた回数によって応援金を支払う(求職者向け)

求人サイトの利用で一番つらいのは応募しても断られることです。「企業からお祈りメールが来る」と揶揄されるほど求職者にとって批判の対象になりやすいです。

※「お祈りメール」とは、不採用になった人に送られるメールに書かれた「あなたの今後の活躍をお祈り申し上げます」という文面からきています。定型文でよく使用される文言であることから、求職者には嫌われています。

企業が断る理由は「求める人材じゃない」「予定数より多くの応募があった」などがほとんどです。ハローワークなど無料で掲載できるサイトでもない限り、基本的にどの企業も採用する気があって求人しています。

ですので安易に企業側を責められないのですが、断られた側としては何度も断られると人格否定をされた気分になり、つらいものです。もう求職活動したくなくなります。

そんな人を応援するために「応援金」を用意するのはいかがでしょうか?応援金といってもお金ではなく、Amazonギフトや楽天ポイントのようなものでも良いと思います。

求人サイト側から「私たちはあなたを応援しています。がんばってください」という気持ちを伝えることができたら、求職者も再びやる気が起きるようになるかもしれません。

求職者がやる気を持って求職活動していただければ、結果的に求人サイトも利益を上げることができるので、応援金を出しても損はしません。

必ず企業を紹介する転職支援サービス(求職者向け)

転職エージェントを利用しても企業や求人を紹介してくれないと言った声があります。紹介しないのはその人材に該当する企業が見つからない場合がほとんどですが、紹介されないと個人情報を渡しているだけに不安になります。

そこで「必ず企業(求人)を紹介する」という転職支援サービスがあればどうでしょうか?自身の経歴やスキルに不安のある方は利用してみたいと思うかもしれません。

必ず紹介すると言っても無限に何回も紹介することは出来ないので、回数を制限する事は必要です。それでも「必ず」という部分がアピールになり、利用者の増加に繋がるのではないでしょうか。

「そうは言っても本当に紹介できる企業がない時はどうするの?」と思うかもしれません。その場合、条件に合う企業を直接探すか、ハローワークの求人を利用してもいいと思います。

自身の求人サイトや抱えている企業にこだわることなく、広範囲を対象とした転職支援が行えれば求職者の満足度も上がり、評判も良くなります。

保証ではなく保険でも面白い!?

本記事を書く上で、最初は保証制度ではなく「保険制度」としていました。しかし、保険だと言葉の意味が違うので保証に変えましたが、保険でも面白いなと思います。

たとえば失業保険(失業手当)は労働者が退職したときにもらえる保険ですが、会社に勤務している間に給与からいくらか天引きされて保険料を支払っています。公的な保険制度ですが、保険料を支払わないことにはもらえません。

これと同じような考え方で、求人サイトに一定の金額を「保険」として納めることで、求人活動が失敗したときに保険金がもらえる制度があれば面白いなと思いました。

求職者の場合は「仕事が見つからなかった」「面接で落ちる」「採用された会社がブラック企業だった」などの理由で損失が考えられるので、保険をかけておくことで金銭的な補助をしてくれると助かります。

逆に企業は「募集しても応募がない」「応募があっても良い人材がいない」「採用した人材がすぐ辞めた」などの問題があるでしょう。これらについて保険をかけることでいくらか戻ってくるなら助かるわけです。

求人サイトの運営者も保険料がもらえるので、サイト運営の足しにできます。きちんとしたルールを決めないと保険料の支払いだけでパンクするおそれはありますが、求人サイトの新たな収入源として期待できます。

お祝い金やお見舞金という制度を導入している求人サイトはありますが、保険制度を導入している求人サイトは見たことがありません。しかし、求人ビジネスでも保険の概念を導入できると思うのです。

法律的に問題があってできないのか、収益化できないから誰もやらないのかは分かりませんが、「保証ではなく保険制度」というのもひとつのビジネス案として面白いのではないでしょうか。

まとめ

今回は色んな保証制度についてアイディアを出しました。いずれのアイディアにしても一番大事なのは「求職者・企業が安心して求人サイトを利用してもらう」ことです。そのための保証です。

新規求人サイトや小規模の求人サイトの場合、利用者はどうしても不安になります。不安だから利用しないとなれば求人サイトの実績は増えず、ますます利用されなくなります。

ですので、「いかに利用者の不安を軽減できるサービスを提供できるか?」というのが求められます。これは求人サイトだけでなく、すべてのビジネスで言えるかもしれませんね。

求人サイトの場合、他の会員制サービスと比べて不安を軽減できるようなサービスを行っているところは少ないです。悪く言えば「旧態依然」だったり「進歩がない」と言えるかもしれません。

しかし、雇用改革や労働改革をしようと世間で盛り上がっているわけですから、求人サイトや求人サービス自体も変えていかなくてはいけません。そういう点においても「保証制度を考える」のは有意義ではないでしょうか。

予算的・現実的な問題はあるかもしれませんが、今後も求職者・企業、利用者にとってより良い求人サイトを構築するためのアイディアを考えていきたいと思います。

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