突然ですが、あなたが物を買ったり、お金を出してサービスを受けようと思う理由は何でしょうか?どうしても欲しいものであれば理由がなくても買うかもしれないし、安かったり、コストパフォーマンスが良さそうであれば購入するきっかけになるかもしれません。
しかし、お金を払う最後の段階(お店で言えばレジに商品を持っていく段階)で決め手に成るのは、「お金を払っても良い相手なのかどうか」という見極め・信頼感ではないでしょうか。そこに不安を感じれば、いくら欲しいものであっても買わないと思います。
逆に個人商店であっても、お店の雰囲気が良くて入りやすかったり、店員さんが愛想の良い人だと、つい買ってしまうこともあるでしょう。そして購入した後も後悔することはなく、むしろ「良い買い物をした」と、気持ちの良い思い出になっていると思います。
なぜこういった感情が生まれるかと言うと、そこに信頼関係が生まれているからです。買い手が売り手に対して「この人(サービス)は信用できる」と感じているので、お金を出す決断ができるのです。
これは求人サイトでも同じです。いくら求人数が豊富にあって、良さそうな求人情報が見つかったとしても、その求人サイト自体を信頼することができなければ、会員登録をしたり応募することはありません。
しかし、信頼を得るためには相応の努力が必要です。ただ求人サイトを作って運営するだけでは不十分です。日々、小さな行動を積み重ね、たゆまぬ努力を行っていくことで、はじめて信頼関係を得ることができるのです。
そこで今回は、「信頼される求人サイトを作る」ことをテーマに、5つのポイントをお伝えしたいと思います。すでに求人サイトを作っている方も、改めて見直してみてください。
正しい求人情報を掲載している
まずは正しい求人情報を掲載することです。求人サイトに書かれている内容と実際の内容が異なるようではトラブルになります。しかし、得てして正しい情報が掲載されていないことがあります。
一番よくあるのが「求人募集が終わっていた」ことです。求人サイトに掲載されている求人情報の募集期限内に応募したのに、企業から「もう募集は締め切った」と言われるケースです。
せっかく手間ひまかけて応募したのに、締め切ったと言われるとガッカリするし、憤りを感じますよね。募集していた企業だけでなく、求人サイトに対しても「ちゃんと管理しろよ!」と不信感をいだく人もいるかもしれません。
求人サイトの仕組みとしては、募集が終わったら「終了(または非公開)」の設定を企業自らする必要があります。採用のタイミングで多少のラグがでることもありますが、基本的には企業の判断に任せる部分になります。
また、誤字脱字や入力ミスでおかしい表示になっていることもあります。人間ですからどうしてもケアレスミスは発生します。ミスやトラブルを事前に防ぐためにも、新しい求人が掲載されたら、運営者側で一度目を通すようにすると良いでしょう。
トラブルを未然に防ぐために大切なのは「企業に任せきりにしない」ことです。いくらサービスを提供しているだけとは言え、ITが得意な企業ばかりではありません。苦手な方もいるし、それでもあなたの求人サイトを利用してくれているのです。
「企業が勝手にやってるから知らない」という態度をとるのではなく、自らも一緒に求人するような感覚で、企業の手助けとなる対応を行いましょう。そうすることで、求職者の信頼だけでなく、企業の信頼を勝ち取ることもできるのです。
求人している企業の実態がわかる
どんな企業が求人しているのか?というのは求職者にとって大変重要です。これから働くかもしれない会社のことですから、少しでも多くの情報を得たいと思うのが当然ではないでしょうか。
しかし、求人サイトによっては会社名や最低限の住所だけで実態がよくわからない場合があります。特に派遣型の求人サイトではそういった傾向が強いようです。電話番号や連絡先の情報もなければ、社内風景の画像もありません。
それでも企業名やURLが掲載されていれば調べることもできますが、中には業界名のみや、「紹介先による」など、具体的に明記されていない場合もあります。これでは不安でなかなか応募できませんよね。
会員制や非公開型の求人サイトなど、求人サイトの形態によって表示できる・できないはあると思いますが、可能な限り募集企業の情報がわかるようにしてください。企業の詳しい情報があることで、求職者の不安を和らげ、調べる手間を軽減させます。
企業自らが会社情報を入力するタイプの求人サイトを運営している方も、できるだけすべての情報を埋めていただくようにお願いしてください。「設立年月日」とか「資本金」とか必要ない情報に見えて、求職者は意識しているものです。
理想を言えば、「求人サイトを見れば、企業サイトを見に行かなくても良い」状態にすることです。求人サイト内で企業の実態を証明し、信頼性を確保することができれば、自ずと求人サイト自体の信頼性にもつながっていきます。
定期的に情報を更新している
定期的に新しい求人情報が掲載されたり、ブログやお知らせなどが公開されたりすると、サイトに「動き」を感じ取ることができます。リピーターの方はもちろん、はじめてアクセスしたユーザーでも日付や内容から感じることができるでしょう。
求人サイトを含め、Webサイトはどれだけ更新しているかがそのサイトの価値を形成すると言っても過言ではありません。これは検索エンジンの評価にも関係があり、更新頻度の高いサイトほど上位表示されやすい傾向にあるからです。
しかし、同じ求人情報をずっと掲載しているサイトがあります。単に応募者が見つからなく、掲載期限を延長し続けているだけだと思いますが、内容も変化せずに同じ情報を掲載し続けるのはよくありません。
求人サイトではなくても、お店にずっと同じ求人募集の張り紙があると、見向きもしなくなりますよね。そればかりか、「ここはいつも求人してるな。どれだけ離職率が高いんだ?」と、悪いイメージを持ってしまうのではないでしょうか。
採用者が決まっていない求人情報が多くある際は、まず内容を見直してから再掲載していただくよう、企業側に伝えるようにしてください。募集メッセージや写真などが更新されているだけでも、だいぶ変わって見えます。
運営者の所在地や連絡先が表示されている
求人サイトを運営する、運営者自身の所在地や連絡先が公開されていることも重要です。求人サイトは個人情報を扱う媒体になるので、どこの誰が運営しているのか?というのが不透明だと、不安で誰も利用してくれません。
特に注意していただきたいのが、個人事業主の運営者です。個人事業主だと自宅を仕事場にしていたり、個人の携帯電話を連絡先に使っているケースも多いため、サイト上に掲載しにくいかもしれません。
しかし、求人サイトを運営するのなら、できるだけ運営者情報は公開するようにしてください。特に求人掲載料などの金銭のやり取りが発生する場合、特定商取引法という法律に関わってきます。
自宅などの個人情報を掲載するのが不安な場合、レンタルオフィスやバーチャルオフィスなど、住所を貸してくれるところもあります。連絡先として使える電話代行サービスもあります。
どちらも数千円~利用できますので、個人事業主の方が求人サイトを作って求人ビジネスを行うのなら、ぜひ検討してください。個人のみならず、法人の方でも利用者が多いので、新事業をする際にはオススメです。
また、連絡先を公開していると言っても、フリーのメールアドレスは控えたほうが良いです。誰でも無料で取得できるものなので、信頼性が落ちますし、メールが届かないこともよくあるからです。必ず独自ドメインのメールアドレスにしましょう。
運営者の情報も正しく公開していることで、ユーザーは安心してサイトを利用できるようになります。可能な限り公開するようにしましょう。
迅速なサポートを行っている
お問い合わせやトラブルなどがあった際に、どれだけ迅速なサポートを行っているかが求人サイトの評判・評価につながります。いくらインターネットのやり取りとは言え、いつでも返事を出せばいいわけではありません。
理想をいうなら、24時間以内に返信するようにしてください。2日も3日も経って返信するのは駄目です。土日祝日など、営業時間外で対応できないこともあるでしょうが、そういった場合を想定したサポートも必要になります。
たとえば、よくある質問などのFAQを用意することです。当サイトにもよくある質問はありますが、こういった質問と回答のまとめがあることで、わざわざお問い合わせをしなくても自力で解決する手がかりになるでしょう。
サイトの使い方を説明するマニュアル|ガイド|ヘルプなどのページを用意してもいいですし、操作動画を用意するのもわかりやすいです。人対人のサポートではなく、Webツールを使ったサポート方法もあるので、可能な限り用意するようにしましょう。
今や悪いニュースはどんどんSNSなどで広まる時代です。Twitterで「あそこの求人サイトに問い合わせたけど対応してもらえなかった」とつぶやかれたら大変です。ユーザーに不満を持たれないよう、迅速で丁寧なサポートを心がけましょう。
番外:安定したサーバー環境を用意する
最後に求人サイトのシステムや動作環境についてもお話したいと思います。上記でご紹介した5つのポイントを抑えていても、肝心の求人サイト自体が不安定だと物理的にアクセスできなくなります。
求人検索をしてもなかなか表示されなかったり、ページの読み込み速度が遅いとストレスが溜まります。今やスマートフォンでアクセスするユーザーも多いため、読み込みが遅いのは致命的です。
また、SSLを導入していないサーバーだとブラウザに「保護されていない通信(Chromeの場合)」と表示されるので、見た目的にも不安です。特に求人サイトは個人情報を扱うため、SSLに対応した方が良いでしょう。
このように「どんなサーバー環境で求人サイトを運営するのか?」も信頼される求人サイトを作る上で重要になります。最初から高スペックのサーバーを用意する必要はありませんが、定期的に見直し、ストレスなく操作できるかチェックするようにしましょう。
まとめ
今や求人サイトはいくつもあり、大小問わず、さまざまな求人サイトが存在します。しかし、人手不足が解消されることはないし、求人サイト自体の評価もあまり上がっていない印象を受けます。
事実、国が運営するハローワークは多くの求人を掲載しており、仕事探しのスタンダードとなっていますが、信頼性はいまいちです。誰もが知っている求人サイトなのに、誰もが利用するのに不安を抱えています。
なぜ「自国のいちばん有名な求人サイトが利用できないのか?」といえば、掲載されている求人情報が信頼できないからです。実際に求人情報の記載内容と実際の労働条件が異なった件数が、厚労省発表で8507件ありました。
3年連続で減少したと見出しには書かれていますが、それでも多いですよね。職員が一件ずつ確認しているはずなのに。こういったトラブルから信頼性を失っており、利用者から苦情が出るのだと思います。
ただし、これはハローワークだけの問題ではありません。求人サイトの規模に関わらず、どこでも起きうる問題です。求人業界全体で、求人内容に対する確認不足が影響しているため、求職者の信頼を損ない、人手不足につながっているのではないでしょうか。
そういった求人サイト・求人業界に対する不信感を拭い去るためにも、個々の求人サイトで努力し、ユーザーに信頼してもらえるサイト作りが必要になるのではないでしょうか。
いくらインターネットを介すとはいえ、信頼関係は一朝一夕で積み重ねられるものではありません。毎日の積み重ねによって、少しずつ作られていくものです。
運営者の心がけ次第で良い方にも悪い方にも変わっていきますので、信頼される求人サイトを作るためにも、日々意識して行動してください。