新しく求人サイトを立ち上げた時に問題となるのが「求人情報が掲載されていない」ことです。求人サイトなのに求人情報がまったくないと、求職者も企業も集まりません。
もちろん、営業活動をして求人情報を集めてから求人サイトを立ち上げる方法もあります。しかし、求人サイトとして形になっていないものに対して、企業も依頼しづらいのではないでしょうか。
そこで知り合いの会社やお店に相談して求人情報をもらい、求人サイトとして公開できる準備をする方も多いと思います。たとえ2,3件でも求人情報があることで、求人サイトとしての体制は整います。
そういった準備をできる方は良いのですが、それも難しいという方もいるでしょう。では、求人情報がないと求人サイトは立ち上げられないのでしょうか?いいえ、そんなことはありません。求人情報がなくても求人サイトとしての態勢を作ることは可能です。
そこで今回は求人情報がない初期を乗り越える方法として、「求人サイトを企業データベースにして活用する方法」をご紹介したいと思います。
企業データベースとは
企業データベースとは、会社名・代表者名・住所・連絡先(電話番号、FAX、E-mail等)・事業内容など、企業に関する情報が集まったものを指します。地域別・業種別にまとめられていることが多く、自分の条件にあった企業を探すことができます。
わかりづらいという方はタウンページをご想像ください。タウンページには企業やお店の情報が書かれており、インターネットが普及する前は分厚い冊子を使って業者を探す人も多かったです。
インターネットが普及している現在は、ポータルサイトと呼ばれるサイトを利用することが多いです。飲食店を探す場合は、ぐるなびや食べログを利用したり、美容室を探す時はホットペッパービューティーを利用する人も多いのではないでしょうか。
これらのサイトには複数の企業情報がまとめられており、目当ての企業を探しやすくなっています。もちろん、求人サイトも求人を出したい企業が集まっているので、企業データベースとして活用することができます。
企業データベースのメリット
求職者は雇用条件だけでなく、「どこの会社が掲載した求人情報なのか?」「どんな会社で働くのか?」といった、企業情報も重視しています。企業情報を見て信頼できそうだと感じれば求人応募します。
求人サイト内で企業を検索したり、比較・検討することができれば、目当ての企業を見つけてから求人情報を確認するという使い方もできます。求人サイトを利用する上で、自由度が上がります。
一方、企業は自社の宣伝になります。特に設立したばかりの会社は信頼性が低いので、少しでも露出を増やして認知してもらうことは大切です。求人サイトに自社の情報を掲載することで、何をしている会社かを認識してもらうきっかけになるでしょう。
また、求人サイトは第三者的立場であるため、見る人にとって信頼性が生まれます。「この会社は存在している会社なんだな」と認識してもらえるようになり、自社サイトだけと比べて信頼性もアップします。
このように、求人サイトを企業データベース代わりに利用することができれば、求職者・企業ともに便利であり、メリットがあるのです。
企業データベースの事例
これまで企業データベースとしての意義やメリットを説明しました。ただし、どの求人サイトでも企業データベースとして活用できるわけではありません。求人サイトの仕組みやシステムによって、企業データベースとして活用できない場合もあります。
そこで企業データベースとはどういうものか?について、事例を元にご紹介します。
JOB-PLACEの企業検索
JOB-PLACEの求人システムの場合、「企業検索」という機能があります。都道府県とキーワードから登録されている企業をかんたんに探すことができます。
※都道府県とキーワードの検索はデフォルトの仕様であり、カスタマイズのご依頼によって郵便番号検索や設立年度の検索などにも対応できます。
検索結果(企業一覧)から気になる企業の詳細をクリックすると、その企業の会社概要とともに、掲載中の求人一覧を閲覧することができます。(掲載していない場合は表示されません)
上記はデモサイトとして公開しているサンプルデータをキャプチャした画像になります。企業詳細ページには会社名やロゴ画像も表示されるので、会社専用のページとして表現することができます。
既存求人サイトの企業検索
JOB-PLACE以外の企業検索では、以下のように企業情報を公開しています。
・企業検索 | レバテックキャリア
会社概要の他に、福利厚生や社風、社内環境も公開しているので、より詳しく会社のことが知れると思います。
・求人企業検索 | 帰国GO.com
留学生の就職をサポートする求人サイトです。企業を条件別で検索でき、一括エントリーをすることもできます。
・企業検索|ジョブラス新卒
逆求人型就活サイトとして自分自身をアピールする学生のための求人サイトです。学生が就職したい企業を探せるようになっており、企業情報もユニークです。
これらの求人サイトのように「企業検索」というコンテンツを用意している求人サイトは多くあります。企業検索があることで、求職者やそうでないユーザーも登録されている企業を調べることができます。
このように企業検索の見せ方(デザインや表現の仕方)を工夫することで、ただの求人サイトが企業データベースとして活用できるようになります。
企業データベースはサイト設計が重要
求人サイトを企業データベースとして活用してもらうためには、企業を検索できるだけでは不十分です。求人サイトの方針(テーマ)を明確にし、正しく設計する必要があります。
たとえば「地域限定の求人サイト」であれば、その地域特有の情報(コンテンツ)を用意することができます。公共施設やおすすめスポットの紹介、お祭りなどのイベントを紹介することもできるでしょう。その紹介とともに企業検索をする方も多いのではないでしょうか。
また、「ラーメン屋専門の求人サイト」「美容室専門の求人サイト」のように、業種・業界を限定した求人サイトを作る場合も有効です。業界特化型の求人サイトであれば、専門的な情報を用意しやすくなるからです。
たとえばラーメンの作り方を探している人が検索してたまたま求人サイト内の「ラーメンの作り方」という記事を閲覧したとします。その記事に「○○店監修」というリンクがあればどうでしょうか?クリックしてどんなお店か見たくなりますよね。
そしてお店が求人情報を掲載していれば、応募のきっかけにもなるでしょう。最初は求人目的でなかったとしても、サイト設計を工夫することで、企業データベースとして活用できるようになります。
企業情報を獲得するための営業方法
企業データベースとして活用するためには企業情報がなければいけません。「企業情報を集めるための営業活動」が必要になります。(※勝手に掲載するのはトラブルになります。必ず承諾を得るようにしましょう)
インターネットを利用した営業活動をする場合、検索エンジンを使う方法が最適です。求人サイトのテーマやジャンルに適合した企業を見つけ、営業をします。
たとえ求人情報がない新規求人サイトであっても、求人サイトのテーマや方針を嘘偽り無く伝えることで、企業情報を掲載しても良いと言ってくれる企業もあります。
あなたが目指しているビジネスモデルにもよりますが、「企業情報を掲載するだけなら料金はかからない」「まずはお試しで企業情報だけ掲載させて欲しい」ようにすれば、承諾を得やすくなるでしょう。
また、ただの“情報取り”だと思われないためにも、きちんと問い合わせ先の企業を調べて、誠意を持って営業活動を行ってください。そうすればメールであれ電話であれ話を聞いてくれる可能性も高まります。
なお、企業の情報を求人サイトに登録する時は、できるだけあなた自身が行いましょう。登録などの余計な手間が発生すると「じゃ止めとく」と敬遠されてしまいます。
あなたが代わりに企業登録をし、求人サイトに掲載されたページを「証拠」として企業に伝えるだけで十分です。それがあることで、その企業が人材募集をしようと思った際に、あなたの求人サイトを思い出してくれるかもしれません。
最初は損得勘定で動くのではなく、お試しで利用してもらうというサービス精神も必要です。それに意義を感じてもらえれば、後の求人掲載にもつながりやすくなるでしょう。
まとめ
求人サイトの主役はあくまで求人情報ですから、求人情報がなく、企業情報だけ公開するのはおかしく思うかもしれません。しかし、求人情報は企業が掲載するものですから、企業情報も大事な情報源になるのです。
たとえ求人サイトであっても、企業データベースとして活用することができれば、ユーザーは利用してくれます。また、情報が増えていくことで、検索エンジンに対するアピール(SEO対策)にもなるでしょう。
企業データベースとして運用していくことは、本来の目的(求人)とは異なりますが、“まずは企業データベースを作る”という観点でサイト構築するのも間違いではありません。そこから求人掲載や求人応募につなげて行けば良いのです。
もし、求人サイトを立ち上げるうえで「求人情報を集めるのが不安・・・」だと感じられているのなら、最初は企業情報を集めるようにしてはいかがでしょうか?企業データベースとして形になる頃には、求人情報も集まるようになるでしょう。