求人サイトを利用するユーザーは求人サイトについてどう思っているか?ということを調査するために、ランサーズというクラウドソーシングを利用して、100人に利用調査アンケートを行いました。
本アンケートは2017、2018年にも実施しており、今回は2019年度版になります。前年に行ったアンケートは以下をご覧ください。
今回のアンケートは前回の5つよりも多い9つの質問をしています。前回と重複した質問もありますが、「求人サイトで採用された経験」や「求人サイトの満足度」についても訪ねているため、既存の求人サイトに対してユーザーがどう感じているか把握することができます。
すでに求人サイトを運営している方も、なかなか100人にアンケートすることは無いかと思いますので、ぜひご参考ください。
回答者の性別
女性の方が少し多いですが、2018年とほぼ同じ割合ですね。女性の方がアンケートに興味を示してくれやすいのかもしれません。
回答者の年代
こちらも2018年と同様、30代40代の回答が多いです。ただ、20代が減っている分、50代の回答者が多くなりました。
求人サイト経由で採用された経験
現代の求人はほぼインターネットが主流であるため、求人サイトで採用されたことがある人は多くなっています。
一方で、約4割は採用されたことがないと回答しているので、もっと改善できる余地はあると感じました。
利用する求人サイトの種類(複数回答)
総合型の求人サイト(職種・地域などのジャンル指定がないサイト)の利用が一番多いです。リクナビやハローワークを総合型として例に出しましたが、知名度が抜群なため、多いのも納得です。
また、求人検索エンジンも多いですね。こちらはindeedや求人ボックスが該当するのですが、CMの影響か利用者が増えている印象があります。2019年はGoogleしごと検索もスタートしましたので、今後も伸びそうですね。
意外なのは職種特化型でしょうか。例としてFind Job!(IT・WEB特化)と看護のお仕事を出したのですが、わかりづらかったのかもしれません。質問の仕方を変えるともう少し伸びるように感じます。
求人サイトを利用する頻度
思ったより利用頻度は少ない印象です。アンケートを取ったランサーズは求職者ではなく、フリーランスや副業目的で利用する人が多いため、仕方がない部分もあるかもしれません。
それでも半数以上は月に何回かは求人サイトを見ると回答しています。実際の求職者ならもっと多くなりそうです。また、求職者以外にも見てもらえる求人サイト・コンテンツがあれば、もっと利用頻度は増えると思います。
求人サイトを選ぶ基準
求人サイトですから、やはり「求人数が多い」が一番になりました。求人サイトは求人情報がメインコンテンツになりますし、求人数がないと自分に合う求人を選ぶのが難しくなるので、当然の結果だと言えます。
ただ、求人数の多さと同じぐらい「情報がわかりやすい」も上位となりました。回答者の要望の部分でも「情報がわからないサイトが多い」という意見もあり、重視されている印象を受けます。
「情報がわかりやすい」や「見やすい」というのは、IT・Web用語で「ユーザーインターフェース」と呼ばれる部分です。現代はPCよりスマートフォンや携帯端末でアクセスするユーザーが多いため、今後改善していかなくてはいけない部分になりますね。
求人検索以外で利用するコンテンツ(複数回答)
(求人保存)
の紹介
の紹介
2018年のアンケートでは求人検索の回答が多かったので、求人検索以外に使用するコンテンツを聞いたところ、このような結果になりました。2018年とあまり変わらない順番になりましたが、スカウトが少し伸びています。
一方で、求人検索しか利用しないという回答も約3割ありました。これらのユーザーを惹きつけられるような魅力的なコンテンツがあれば、アクセスアップにも繋がるのではないかと感じました。
現在の求人サイト・サービスの満足度
「どちらともいえない」を除くと、おおむね「満足(75%):不満(25%)」となりました。満足の方が多いのは、求人サイトを運営している方が頑張っているおかげでもあるので、嬉しくなりますね。
ただ、どちらともいえないの人が不満に入ると一気に逆転します。より良い求人サイト・サービスを提供していくためにも、求人業界全体で頑張っていきたいところです。
求人サイトで欲しい機能やサービス
回答者が既存の求人サイトに対してどんな機能やサービスを欲しているのか?についてもお尋ねしました。自由記入であるため、様々ご意見をいただきました。そのご意見を一部紹介したいと思います。
なお、2018年はただ要望を羅列するだけでしたが、今回は要望に対する筆者の意見も付け足してご紹介したいと思います。
機能に対する要望
・職場の雰囲気が分かる動画を提供してほしい(40代男性)
・自分に合っている仕事をAIが判定してくれる機能(40代女性)
・職種別の自己PR文が自動的に書ける誘導型の質問コラム(20代男性)
職場風景の動画を望む声が多くありました。動画だと文字や静止画で確認するよりもわかりやすいですからね。これからの時代にマッチする要望だと思います。
また、求人情報も多くあるので探すのが大変です。AIが探してくれたり、自己PRを書いてくれると手間が減るというのも、今風のご意見だと感じました。
求人情報に対する要望
・何人応募しているか知りたい(30代男性)
・離職が多い企業かどうか見極めるため、前回求人を載せた日を知りたい(30代女性)
・食堂やトイレ、更衣室などの職場の環境が掲載されていると助かる(30代女性)
何人応募しているか知りたいという意見も多かったです。競合が多い求人より、少ないほうが採用される可能性があるからでしょうか。あるいは応募者が少ないと採用される可能性が高くなるという理由もあるかもしれません。
また、詳細な職場環境が知りたいという意見も多かったです。会社内の設備は長時間働く上で大切なことですし、職場環境が悪いと気持ちよく働けませんからね。「トイレの数が掲載されていると、女性を大事にしているかの目安になる」という意見もありました。
コンテンツに対する要望
・子どもがいても働きやすい職場特集などをしてほしい(30代女性)
・成功談ばかりでなく失敗談についても知りたい(40代女性)
・年代別のオススメ仕事を紹介してくれる相談コーナーがほしい(50代女性)
失敗談とかデメリットを掲載してほしいという要望がいくつかありました。求人サイトにとって企業はお客様なだけに、なかなか掲載しづらい情報です。しかし、クチコミやレビューでも悪い情報も掲載しているサイトの方が信頼度が上がります。可能な限り掲載した方が良いかもしれません。
また、特集や相談コーナーのようなものがあれば、読み物コンテンツとして活用できます。求人を探している人以外にも読んでもらえるし、コンテンツとしても比較的作りやすいのではないでしょうか。
サポートに対する要望
・定期的な電話相談がしたい(30代女性)
・疑問に思ったことを即座に返信がもらえるチャット機能(30代男性)
・履歴書や職務経歴書の書類作成サポート(40代男性)
求人サイトの運営者側に対する要望もありました。ECサイトによくあるサービスですが、求人について悩んだ時に電話やチャットで回答してもらえると助かりますよね。即判断することで、その後の応募に繋がります。
また、実際に応募する前に履歴書や職務経歴書の作成サポートをしてほしいという意見もありました。転職エージェントでは行っていますが、一般の求人サイトでも同様のサポートがあると求職者の助けになります。
サービスに対する要望
・就業者の声を聞く機会・サービスがほしい(30代男性)
・高齢者用専用の求人サイトがほしい(60代男性)
・障害者向け求人情報の拡充(30代男性)
実際に就職先が決まった人の話が聞きたいという意見もいくつかありました。こちらはECサイトで言うと「お客様の声」に該当する部分でしょうか。利用者の声があると自分も採用されるかもしれないと思うし、応募する勇気が出ますよね。
また、高齢者専門・障害者専門の求人サイトはあるものの、一般の求人サイトで扱っているケースは少ないです。もっと取り扱わなければいけない情報だと感じました。
その他に気になった要望
・在宅の仕事が圧倒的に少ない(50代男性)
・地方に特化した求人サイトが増えてくれると嬉しい(40代女性)
・採用された後のサービスが今ひとつなので、改善してほしい(30代男性)
年配者を中心に、在宅の仕事が少ないという意見がいくつかありました。今はクラウドソーシングを使って在宅で仕事ができますが、あくまで副業です。安定した収入が得られる在宅仕事は確かに少ないので、今後増えてほしいですね。
地方特化の求人サイトを望む方は、以前転職エージェントを利用したものの、該当地域での求人がなく、他地域の求人ばかり紹介されたというお話でした。人手不足から地方の求人も増えてきているので、地域限定の求人サイトに対する需要が増えているかもしれません。
そして「採用された後は何もしてくれない」という意見もありました。求人サイトですから、求職者と企業をマッチングすることで目的は達成されますが、それでは一度きりの利用で終わってしまいます。
今後は「採用された後でも利用できる求人サイト」が求められる時代が来るかもしれません。
アンケートを実施した感想
結果に若干の違いはあるものの、2018年に実施したアンケートと比べて大きく違いは感じませんでした。利用者の満足度もそこそこ高く、「現状の求人サイトで満足しているため、これ以上求めていない」という意見もありました。
これは人手不足で有効求人倍率が高いため、就職しやすい環境が続いているのも要因かもしれません。求人業界も特に切羽詰まった状況ではないため、平常運転をしている感じでしょうか。
しかし、「求人サイトで欲しい機能やサービス」を見る限り、改善できていない課題も多いです。不満を持つユーザーは決して少なくないのです。景気低迷とオリンピック特需が終わる2020年移行はどうなるかもわかりません。
今だからこそ人手不足という言葉に踊らされず、ひとつずつ課題をクリアし、ユーザーのためになる求人サイトを作ることが求められているように感じます。
これから求人サイトを作りたいと思っている方も、すでに求人サイトを運営されている方も、ぜひ今回のアンケートを参考にして求人サイトの構築と改善に取り組んでいただければ幸いです。
もちろん、当サイトも今回のアンケートを元にしたサービスの提供・発展を心がけたいと思います。ぜひ一緒に求人業界を盛り上げていきましょう。