求人ビジネス

今がチャンス?人材不足の業界を対象とした求人サイトの可能性を考える

今がチャンス?人材不足の業界を対象とした求人サイトの可能性を考えるのイメージ

新しい求人サイトを作る時に、対象とする業界(職種)や地域をどこに設定するかはとても重要なことです。人余りで需要がない業界を対象にしてしまうと、求人掲載の依頼を獲得するのが難しくなるからです。

求人ビジネスとして利益を上げるためには、人手が欲しい企業に適切なアプローチをして、需要を満たす必要があります。そのためには採用企業と求職者のニーズを調べ、「今どんな求人サイトが求められているのか?」を把握しておく必要があるでしょう。

適切なマーケットリサーチを行うことで、既に求人サイトが存在する業界にも新規参入することが可能になります。特にその業界の求人サイトが少ない場合、後発であっても成功する確率は高まるでしょう。

そこで今回は東洋経済が発表した「人手不足な職業・人余りな職業ランキング」を元に、どんな求人サイトを作れば良いのか?や、求人サイト構築の可能性についてご紹介したいと思います。

目次[非表示]

建設業界を対象とした求人サイトの場合

建設業界のイメージ

土木工事、塗装、とび職、大工など、建築・建設業界はとても人手不足です。仕事内容は肉体労働が中心であり、作業は危険を伴うこともあるため、若者を中心に求職者がなかなか選びません。

しかし、2020年の東京オリンピックを控えて需要が高まっている業界であり、どの企業も人材を獲得するために躍起になっています。建設業界を対象とした求人サイトを作れば、求人掲載を獲得しやすくなるのではないでしょうか。

既存サイトから見る新規参入の可能性は?

建設業界が人手不足なのは前から知られるところなので、求人サイトも多くあります。「建設 求人サイト」で検索すると、1ページ内に大手求人サイト(エン転職やタウンワークなど)ではなく、特化型の求人サイトがいくつかヒットします。

ライバルとなる求人サイトが多いので、これから新規参入するのは難しいと思われるかもしれません。しかし、各求人サイトを調査する上で気づいたことがあります。それは「職業の魅力を伝える情報が少ない」ということです。

建設関係の仕事は大変なイメージもありますが、建造物を作るといったものづくりに関わる仕事であり、社会貢献しているというやりがいを得ることができます。また、時間の決まりもあり、高収入でもあるため、若いうちから稼ぎやすい仕事でもあります。

そういった仕事の魅力やメリットを記事として紹介している求人サイトは少ないです。あくまで「建設の仕事を知っている人向け」の求人サイトが多いため、若者や新規求職者を獲得しづらいと感じました。

デザイン的にも地味だったり、暗い感じのサイトが多く、男性(しかも中高年以上)向きだと感じるので、見た目から変えることもできそうです。

逆に求人サイトとしての機能はそれほど多くなくても良いのではないか?と感じます。求人検索が充実していたら十分で、スカウトも必要ないと思います。(お祝い金はあったほうが良いでしょう)

建設業界を対象とした求人サイトは競合サイトも多いですが、作り方・情報発信の仕方によって、新規参入は十分可能です。人手不足で企業の需要も高いだけに、チャンスがあると思います。

医療業界を対象とした求人サイトの場合

医療業界のイメージ

医師、獣医師、看護師、薬剤師など医療業界も人手不足です。同系ジャンルである介護も含めると更に深刻です。国家資格が必要な専門職であるため、人材自体が少ないのですが、それに加えて過剰労働が問題視されるようになりました。

命を扱う現場ですから、日々気を抜くことができません。医師なら早朝深夜に呼び出されることもあるでしょうし、休みもかなり少ないのではないでしょうか。高齢化で患者も増えており、その分、労働者の作業負担も増えています。

人を助けると言った社会的使命や高収入を得られるというメリットもありますが、昨今では医療業界の問題ばかりがクローズアップされているので、いまいち求職者に魅力が伝わらないのかもしれません。

しかし、医療業界に対する求人費は破格です。アフィリエイトを見ても医師を斡旋する求人広告で多くの報酬を得ることができるため、求人サイトを作って事業利益を得やすいジャンルだと言えるでしょう。

既存サイトから見る新規参入の可能性は?

正直申し上げて低いと感じます。医療業界に関する求人サイトは多くありますし、看護師や薬剤師に絞った場合も同様です。デザインも機能も情報も充実しており、さすが儲かるジャンルだなと思いました。ライバルが大変多いです。

とはいえ、今後医療業界に関する求人サイトを作るのは無理なのか?といえばそうではありません。あくまで同じような仕組みの求人サイトを作ることが難しいのであり、アプローチの仕方を変えればまだまだ新規参入の可能性はあります。

まず考えられるのは、ただ求人情報を掲載して求職者を集めると言った従来のスタイルではなく、労働者の悩みや問題を解決するというサイト構成にすることです。

たとえば看護師の転職で問題視されるのが「育児との両立」と「人間関係」です。子育てをしながら看護の仕事をするのは難しいと思っている方が多いです。また、女性が多い職場なので、“女社会ならではの問題”も多くあります。

そういった「就職するには困難な事情」を解消するよう情報・サービスが提供できれば、他の求人サイトとの差別化につながり、求職者の集客にもつながるのではないでしょうか。

歯科医院は数も多いので狙い目です。ユーザーが集まれば、医院から求人掲載を獲得するのも難しくはないでしょう。

運送業界を対象とした求人サイトの場合

運送業界のイメージ

運送業界の人手不足が端を発した事件・事故が度々ニュースで報道されています。バスやトラックの運転手(ドライバー)だけでなく、引っ越しや倉庫作業員などの人材も足りていません。

ネット通販の増加で需要が増える一方、人手不足で供給が追いつかない状況です。運転手の高齢化も問題視されており、早急に改革を求められている業界だと言っても過言ではないでしょう。

運送業界の場合、企業側も雇用改革をしていこうとする意思が感じられます。2017年に話題となったヤマト運輸のAmazon撤退や運送料の値上げは、運送業界を変えていきたいという意思の現れに見えます。

10月1日。宅急便の値上げをいたしました。ご理解とご協力を、お願いいたします。|ヤマト運輸

ヤマト運輸のような大手企業だけでなく、中小企業も続くようになってきました。今後は運送業界の「変わりたい」という意思を受け止められる求人サイトが必要になるのではないでしょうか。

既存サイトから見る新規参入の可能性は?

ドライバーを対象とした求人サイトは多いです。「運送 求人サイト」で検索すると、1ページ目にドライバーに特化した求人サイトが5サイトも見つかりました(2018年6月14日現在)

ただ、2ページ目以降はそれほどでもなく、運送会社の採用ページがヒットしています。検索ワードを「運送 転職サイト」や「配送 求人サイト」に変えても似たような状況なので、新規参入の目はあるといえるでしょう。

※検索結果に同じサイトのページや情報が少ないページが上位表示している場合、後発のサイトでも情報量を充実させることで、上位表示しやすくなります。上位表示がしやすくなれば、集客につながり、利益を出しやすくなります。

また、求人サイトの作りもシンプルで、求人情報を紹介するだけのところが多いです。職業の魅力を伝え、適切なコンテンツマーケティングを行うことで、集客につなげることができるのではないかと感じました。

あるいは転職エージェントというスタイルも良いかもしれませんね。運送業界を対象とした転職エージェントは少ないです。(検索して見つかるのは総合型転職エージェントの宣伝サイトが中心です)

飲食業界を対象とした求人サイトの場合

飲食業界のイメージ

和食、カフェ、居酒屋などの飲食業界も人材不足です。仕事は調理、接客、販売などが中心ですが、主にパート・アルバイトといった非正規雇用で働く従業員が多く、給料も低めです。

また、ブラック企業・ブラックバイトとしてやり玉に挙げられることも多く、労働条件が悪いというイメージが定着してしまいました。そのため、なかなか飲食の仕事をする人が集まらないようです。

しかし、飲食は参入する企業も多く、人の出入りも激しいため、求人掲載を獲得しやすい業界でもあります。以前、「上場するスタートアップに求人ビジネスが多い理由」という記事で、飲食求人サイト「クックビズ」を取り上げました。

上場するスタートアップに求人ビジネスが多い理由
スタートアップとは、ビジネス用語で起業したり新しいビジネスをはじめる人(組織)のことを指します。特にIT業界は参入障壁が低いので、スタートア...
上場するスタートアップに求人ビジネスが多い理由のサムネイル

クックビズ株式会社は2017年に上場しましたが、「上場できるだけ利益があった・需要があった」ともいえます。求人サイトのコンテンツはそれほどオリジナル性があるわけではないので、飲食に特化したというのが大きな要因になるでしょう。

既存サイトから見る新規参入の可能性は?

飲食業界に特化した求人サイトは多いです。飲食自体の求人も多いため、総合型の求人サイトとも被る可能性があります。また、店舗を紹介するポータルサイトでも求人情報を掲載していることもあり、新規参入は難しいと感じるかもしれません。

ただし、「飲食」という括りで求人サイトを作るのは難しいかもしれませんが、職種や雇用形態など条件を細分化することで、新規参入の可能性は広がります。

たとえば「調理師に特化した求人サイト」というのはいかがでしょうか。調理師の求人情報だけでなく、調理師のなり方や資格の勉強方法を紹介したり、調理グッズの販売なども行えると思います。

あるいは「正社員に特化した求人サイト」であれば、パート・アルバイトが多い飲食業界では独自性を出すことができるでしょう。飲食専門の転職エージェントというのも良いかもしれませんね。

飲食というジャンルは情報も幅広いため、細分化することが可能です。「自分は飲食業界で働いてきたから、飲食専門の求人サイトを作りたい!」と思われた方は、もっと条件を絞ったサイト案を考えてみてはいかがでしょうか。

事務は採用企業が少なくても求職者のニーズは高い

事務仕事をしている女性

一方、「人手不足が深刻な職業ランキング」によると事務職は人余り状況が続いているようです。機械化・IT化が進む中で、事務の仕事が減ってきているという側面もあるでしょう。

事務の求人が少ない一方、求職者は事務の仕事を求めているというのもあります。事務職であれば内勤だし、残業も少ないです。子育て中の方や接客・サービスが苦手な人にとって好まれる仕事です。

だからなのか、女性を中心に一般事務を希望する人も多く、需要が少ない中でそれを問題視する記事もありました。

企業の需要は少ない一方、求職者の需要は高いわけですから、事務職に特化した求人サイトを作れば集客しやすくなるのではないでしょうか?集客ができれば企業から求人掲載の依頼ももらいやすくなります。

そう思い事務職に特化した求人サイトはないか調べたところ、目ぼしい求人サイトは見当たりませんでした。求人サイトの一職種として事務の求人情報がヒットするだけです。やはり企業の需要が少ないので、特化型は難しいかもしれません。

ただ繰り返しになりますが、求職者の需要は高いわけですから、アプローチの仕方を工夫すれば求人ビジネスとして成り立たせることも可能だと思います。アイディア次第と言ったところでしょうか。

人手不足の業界は改革のチャンスあり

ビジネスチャンス

現代の日本社会は少子高齢化のため、どの業界も人手不足です。今回挙げた業界だけにとどまらず、有効求人倍率が2倍を超えるような業界は、特化型求人サイトを作っても成功するチャンスがあるといえるでしょう。

人手不足の業界もただ指を加えて人手不足を甘んじているわけではありません。給料や雇用条件の改善を行い、求職者に選んでもらえるよう努力しています。変わろうと業界一丸となって努力しています。

ただ雇用改革はまだはじまったばかりだともいえ、インターネットの世界まで浸透していないように感じます。そのため、ニュース記事などで「雇用改善している」と言われても、いまいちピンとこない人も多いのではないでしょうか。

人々が雇用改革を実感するには仕事の入り口である求人サイトも変わっていかなければいけません。どこかで見た似たような求人サイトばかりだと、業界を後押しすることはできないでしょう。

「この求人サイトならでは」だという特徴やメリットを用意して、適切な企業や求職者にアプローチすることで、独自路線の求人ビジネスができるのではないでしょうか。

これから求人サイトを構築したいと考えられている方は、まず人手不足の業界を調べ、その業界がどう改革しようとしているか注視してみてください。そこには大きなビジネスチャンスが眠っているかもしれません。

関連記事

人材獲得競争再び?飲食業界向けの求人サイトにビジネスチャンス到来のイメージ

人材獲得競争再び?飲食業界向けの求人サイトにビジネスチャンス到来

10月25日に飲食店への時短営業の要請が解除されました。 それに伴い、飲食業界を中心...

2017年の雇用・労働に関するニュースから今年を振り返るのイメージ

2017年の雇用・労働に関するニュースから今年を振り返る

2017年も残りわずかとなりました。1年が過ぎるのはあっという間ですね。毎年この時期になると1年で起きた出来事...

求人ビジネスは兼業が可能!求人サイトを作って可能性を拡げる方法のイメージ

求人ビジネスは兼業が可能!求人サイトを作って可能性を拡げる方法

現代はインターネットがあることで個人でも手軽にビジネスがはじめられるようになりました。ネット上には多くの情報が...

成長を続けるペット業界を対象とした求人サイトの作り方のイメージ

成長を続けるペット業界を対象とした求人サイトの作り方

犬や猫などのペットを扱うペット業界(ペット産業)は毎年成長を続けています。 参考:富士経...

運送業界に学ぶ!自社求人サイトの作り方のイメージ

運送業界に学ぶ!自社求人サイトの作り方

今年になってから連日のように運送業界に関する人手不足のニュースが報道されるようになりました。人手が足りないこと...