求人サイトは求人情報と応募フォームだけでも成立しますが、それだけでは淡々とした印象になり、求職者にも掲載企業にも強い魅力として伝わりにくくなります。
条件の良い求人ばかりを集めることは難しく、情報量だけで他サイトと競うのにも限界があります。
だからこそ、求人以外のコンテンツを充実させ、サイトならではの価値を示す工夫が欠かせません。
この記事では、求人サイトでよく活用される代表的なコンテンツを取り上げつつ、どのように組み合わせると効果が高まるかを解説します。
なお、汎用的なアイデアも幅広く紹介しているため、JOB-PLACE の標準機能に含まれていない内容も登場しますが、後からのアップデートやカスタマイズで対応するイメージを持ちながらご覧いただければ幸いです。
スカウト機能(スカウトメール)
スカウト機能とは、求職者が登録した履歴書や希望条件などを企業が検索し、直接連絡することができる仕組みです。スカウトメールとも呼ばれます。
今やスカウト機能は求人サイトを利用する会員の2人に1人は利用されていると言われ、大変人気のコンテンツです。
多くの求人サイトで採用され、特に転職系のサイトではだいたい実装されていますので、求人サイトとして必須機能だと言っても過言ではないと思います。
スカウト機能がある求人サイトをいくつかご紹介します。
こも流れとしては冒頭で述べた通り、
1:求職者が会員登録をする
2:スカウトメールの受信設定をする
(または希望条件を設定する)
3:企業からスカウトメールが届く
4:スカウトメールで勧められた求人情報に応募する
と言った流れを採用しています。JOB-PLACEのスカウト機能もこの仕組を採用しており、もっとも一般的なスカウト機能の仕組みになるでしょう。
スカウト機能のメリット
求職者は採用企業から直接応募することが出来るので、仕事を探す手間を省くことができます。
企業は不特定多数の求職者ではなく、自社の条件に合った人材を探すことが出来るので、人材獲得までの時間を短縮することができます。
スカウト機能があることで活発な採用活動が行われることになりますので、サイト自体の利用促進と活性化に繋がり、求人サイトの運営者としても収益アップを望めるようになります。
スカウト機能のデメリット
ほとんどの場合は管理者が介入すること無く、企業にスカウトメール送信のやりとりを任せるので、意図せぬ連絡を求職者にしてトラブルになることがあります。
具体的には、求職者が希望していない条件でアプローチされたり、イベントやセミナーなどの勧誘に利用されることです。一部では個人情報収集が目的でスカウトメールを送信する企業もあるようです。
そんなスカウトメールが大量に届いて困ったという話がネット上にはたくさんあります。「スカウトメールが来る会社はブラック会社だ!」と言った印象を持つ人もいるぐらいで、みんながスカウト機能を好意的に思っているわけではありません。
もちろん、ほとんどの企業は真面目に利用しているのですが、そうではない企業が少なからずいるということで、求人サイト運営者としては注意が必要です。
スカウト機能の導入ポイント
デメリットとして述べた「悪意があるスカウトメールの利用」をどの程度防ぐことが出来るかが導入のポイントになります。その為には、どうやって掲載企業を探すのか?企業に周知していくのかが重要なポイントとなります。
不特定多数が企業登録をし、誰でも簡単にスカウトメールを送信できる仕組みだと、デメリットで上げたようなトラブルになりがちです。
管理者の負担は増えますが、企業登録を承認して事前に確認した上で利用させるなどの対応が必要かもしれません。
いずれにしても求職者・企業ともにフォローできる体制を用意することで、意図せぬトラブルを避けることができ、より良い人材マッチングをサポートする事ができます。
特集ページ
「未経験者歓迎!技術を学べる仕事」「年間休日125日以上の企業」など、求人情報の一定のテーマでまとめた特集ページを作ることです。
特集ページがあることで求人情報をアピールすることができ、利用促進に繋がります。また、一定の条件でまとめることでSEO(検索エンジン対策)的な効果を与えることもできます。
特集ページに力を入れている求人サイトは以下のとおりです。
エン・ジャパンは担当者が人気のテーマでまとめた特集ページを作成し、テーマに該当する求人情報が検索できるようになっています。
クックビズは料理やお店に関する話題をまとめた特集ページを作成し、該当する求人情報と連携するようにしています。
どらなびは求人情報の紹介よりも職業や仕事そのものの魅力を伝えるような特集ページを作っています。運転手の魅力が伝わり、興味が湧きます。
このように、特集ページがあることで求人サイトとしてオリジナリティを出すことにも繋がります。
JOB-PLACEの求人システムにある特集機能は、上記でご紹介した特集ページのどちらにも対応した作り方が可能です。
特集ページのメリット
特集ページは求人情報を新たな切り口で紹介する事が出来るので、求職者は知らなかった情報を得やすく、求人サイトの質を高めることができます。
掲載から日数が経った求人情報でも特集ページとしてまとめることで、改めてアピールすることが出来るので、企業としてもサポート対応を実感することができます。
また、特集記事としてまとまった情報が集まることで、SEOの内部対策にもなりますので、アクセスアップとしても期待できます。
特集ページのデメリット
特集ページはただ関連する求人情報を掲載するだけでは意味が無いので、ある程度の文章や画像も必要になるのですが、掲載する内容(ネタ)に困るかもしれません。
また、特集ページに該当しない求人情報は省かれることになるので、企業からしたら「どうして自分の求人情報は取り上げられないんだ!」と、不満に感じるかもしれません。
だからと言ってどんな求人情報ばかり掲載していては特集ページの意味がなくなりますし、ページの作りとして頭を悩ますことがあるかもしれません。
特集ページの導入ポイント
求人サイトとして情報量が多く、企業が掲載した求人情報の募集要項から的確にテーマを探すことが出来れば、特集ページは絶大な武器になります。
ネタ探しが難しいと書きましたが、
・地域に関する特集
・職種に関する特集
・給与に関する特集
・福利厚生に関する特集
・季節に関係する特集
など、それぞれ簡単に分けることが出来るので、当面はネタにも困らないかと思います。
特集ページ作りが慣れた後に、あなたの求人サイトだけのオリジナル特集を作るようにすれば、求人サイトのオリジナリティも生まれるし、魅力あるサイトになることでしょう。
メッセージ機能
メッセージ機能とは、求人サイト上で企業が求職者と直接やりとりをすることが出来る機能になります。
メッセージ機能があることで求人サイト上でやりとりを完結することが出来るので、電話やメールよりも使い勝手がよいです。
主に会員が求人応募をした後に、応募内容を見て企業が面接日や履歴書に関する連絡をします。会員はそのメッセージに対して質問したり、返答します。
メッセージ機能を導入している有名な求人サイトは以下のとおりです。
Indeedやマイナビ転職のように求人応募後の連絡のやり取りとしてメッセージ機能を使用するのが一般的ですが、Wantedlyのように企業との繋がりを重視したやりとりを行えるのも面白いサービスです。
JOB-PLACEの求人システムにあるメッセージ機能も、基本的には求人応募後にやり取りをする仕組みです。
メッセージ機能のメリット
メッセージを求人サイト上で確認するので、求人サイトへの利用促進に繋がります。メッセージ機能は会員登録をして使用しますので、会員を増やす要素としても役立ちます。
また、求人サイトの運営者としても企業と会員のやり取りを監視できるので、不正使用を防止するのに役立てたり、トラブル時の証拠にもなります。
そして、企業と会員同士にやり取りを任せることで、運営者の手間を軽減させることもできます。
メッセージ機能のデメリット
メールより簡単に使用できるものの、使い勝手が悪い部分もあります。基本的にはメッセージを削除できないので、メッセージが溜まっていくことで、管理が大変になることがあります。
また、証拠として残るものの不正使用される可能性も排除しきれないため、メッセージの履歴を定期的に監視しなくてはいけません。(かといって、個人情報保護の問題がありますので、よほどのことがない限りは気軽に扱えない情報でもあります)
メッセージ機能の導入ポイント
メッセージ機能は文字のやりとりになるため、企業・会員のマナーが問われます。出来るだけトラブルを避けるようにし、ヘルプやよくある質問などで使い方を周知していかなくてはいけません。
ただ、TwitterやSNSの利用でも分かる通り、メッセージ機能はコミュニケーションツールとして大変重要なコンテンツです。
トラブルを避ける対策が必要ながらも、利用促進のためには積極的に導入して欲しい機能でもあります。
スキル機能
スキル機能とは、求職者が身につけている技術や経験を選択することで、求人応募の際に企業に対してアピールすることが出来る機能になります。
スキル機能があることで、企業も求める人材を探しやすくなり、プロフェッショナルな人材探しに役立てられます。
たとえば、paiza転職だと、求職者がプログラミング言語などのスキルを登録し、そのスキルランクに応じて企業からスカウトが届く仕組みになっています。
@typeでは、スキルシート作成支援もあります。
スキル機能を活用することで、とくに専門性の高い求人サイトで魅力的なコンテンツになるでしょう。
スキル機能のメリット
繰り返しになりますが、求職者が有するスキル(技術)や資格を明確にすることができるので、企業としても求める人材を探しやすくなります。
また、美容師や介護士など専門性のある業界ではスキルが必須な場合もありますので、スキルを明確にすることで求職者の質を高めることにも繋がります。
スキルが明確になることで求人サイトとしても企業を募集する時にアピールすることができますし、求人サイトの特色としてSEOに対する影響を与えることができます。(専門性の高い情報・人材が多くあるサイトは評価されます)
スキル機能のデメリット
虚偽のスキルを選択されることがあるということです。採用されたくて自身が身につけているスキルより過剰なスキルや経験数を選択してしまい、実際に入社した後に困ったというトラブルを耳にします。
求職者がそのような行動を取ると、求人サイトの信用問題にも関わるので対策したいところですが、基本的にスキルは自己申告なため、判断が難しいです。
国家資格ではない限り、「出来る・分かる・身につけている」という判断基準は個々の裁量に委ねられることが多く、企業・求職者双方で認識が異なる場合があります。
スキル機能の導入ポイント
スキル機能を導入する際は、まずスキル項目をできるだけ細かく整理し、求職者と企業の認識ズレが起きにくい構造に整えることが欠かせません。
大分類・中分類・具体的スキルのように階層を設けると、入力・検索の双方で精度が高まります。
また、専門性の高い領域を扱う場合は、運営側が基本的な業務知識や業界構造を理解しておくことが重要です。
スキルの表現方法やレベル設定を適切に判断できるようになり、問い合わせ対応や表記揺れの調整もスムーズに行えます。
こうした下準備を丁寧に行うことで、企業と求職者のマッチング精度を高める機能として運用しやすくなるでしょう。
転職診断
転職や仕事選びに対して、いくつかの設問に回答していくことで適職を紹介する診断、アンケート機能です。
以下の求人サイトで使用されています。
20~30程の設問に回答することで、自身(求職者)が仕事に対して求めるものやビジネスにおける強みなどの性格分析をし、それによって適職だと思う仕事を紹介します。
転職診断のメリット
真面目な用途で利用されるコンテンツではありますが、上記でご紹介した「ジョブリシャス診断」のように、お遊び的な要素もあると思います。
その為、占い好きの方や仕事(職業)に対して悩んでいる方には助けになるでしょうし、操作する楽しさも生まれます。
データとして細かく分析されますので、それを元に求人応募に役立てることも出来るでしょう。
転職診断のデメリット
なんといっても作るのが大変なコンテンツだと思います。血液型占いなど大分類できるようなものではなく、細かい設問によるデータ分析になりますので、専門的要素が強いです。
これまでの経験や知識、専門性を要していないと作れないコンテンツであり、外注する場合はコストが高くなることが容易に想像されます。
診断されたからといってそれをそのまま真に受けて仕事探しをするといった方も少ないように感じるので、投資に見合うリターンが得られにくいかもしれません。
転職診断の導入ポイント
求人サイトの運営者自身に豊富な知識があって、明確な傾向に分けることが可能であるなら、導入しても面白いと思います。
転職診断に限らず、アンケートに回答して結果を表示したり、データ分析に関わる機能は情報としての楽しさがあります。求職者同士で話のネタにもなるし、ブログやSNSなどで紹介されるかもしれません。
また、転職診断から適切な求人情報に誘導するような流れを作れば、利用促進にも繋がります。
単純なお遊び系コンテンツしてではなく、求人応募を促す補助ツールとして活用しても良いかと思います。
お役立ち情報
お役立ち情報とは、メインコンテンツとなる求人情報とは異なり、それを補足するようなサブコンテンツになります。
・転職ノウハウ
・企業インタビュー
・履歴書の書き方
・卒業年度早見表
・アルバイト体験談
などがよく見かけます。
以下のサイトでも独自のお役立ち情報を公開しています。
主に読み物系のコンテンツが多く、求職者に対して情報提供する目的で作っていることが多いようです。
JOB-PLACEの求人システムには、記事作成機能やガイド機能などありますので、読み物系のコンテンツを充実させることが可能です。
お役立ち情報のメリット
お役立ち情報があることで求人サイトの滞在率を増やし、会員登録の促進に繋がります。
転職ノウハウや履歴書の書き方など、読み物系コンテンツだけでなく、「企業インタビュー」「転職者インタビュー」は、利用者の声として求人サイトの評価に役立ちます。
ECサイトにもお客様の声(レビュー)のようなコンテンツがありますが、第三者の評価があることで、購入のきっかけになります。
情報公開することで他の機能で挙げた意思疎通に関するトラブルを避ける事になりますので、お役立ち情報はサポートの役割も持ちます
お役立ち情報のデメリット
やはり情報を集める労力・資金が大変になるということです。ネットから拾ってきた情報や信憑性がない情報を公開すると、バッシングの元ととなり、炎上してしまいます。
その為、情報を判断できる能力が必要であり、ある程度、運営者自身にも専門的な知識が必要になってくるのではないでしょうか。
また、”お役立ち”といいつつ企業の宣伝のようになってしまうケースもあり、情報の作り方・まとめ方には注意する必要があります。
お役立ち情報の導入ポイント
履歴書の書き方や面接の仕方などの一般的なビジネスマナーはそう変わることはありませんが、仕事の仕方やコラムなどはその時のトレンドもありますので、定期的に更新しないと古くなってしまいます。
その為、お役立ち情報と言ってもある程度の鮮度と時代の流れを意識して作ることが大事だといえます。
しかし、お役立ち情報があることで求職者の利用促進になりますし、求人サイトとしてもオリジナリティを出す要因にもなります。
無理のない範囲で求職者にとって役立つ情報を提供していただければと思います。
成功事例の紹介
成功事例コンテンツは、実際に求人サイトを通じて転職した人のストーリーを紹介する読み物型コンテンツです。
転職前の悩み、応募までのプロセス、新しい職場での働き方などを丁寧に描き、求職者が具体的なキャリアイメージを持てるように構成します。
事例は職種や業界ごとに複数用意し、写真やインタビュー形式を交えて臨場感のある内容にすると、読者が自身の状況に近いケースを見つけやすくなるでしょう。
成功事例を紹介するメリット
成功事例は、求職者が転職後のリアルな姿をイメージしやすくなる点が大きな利点です。
単なる求人情報では伝わらない、働く環境や成長プロセスを求職者の視点で描くことで、応募意欲の向上につながります。
また、企業側の魅力や価値観を第三者の言葉で示せるため、信頼性の高い情報として受け取られやすい特徴があります。
サイト全体のコンテンツ価値が高まり、ユーザーの滞在時間や回遊性の向上が期待できます。
さらに、さまざまな職種や背景の事例を蓄積することで、幅広い層に合った情報提供が可能になります。
成功事例を紹介するデメリット
成功事例は制作にある程度の手間がかかる点が課題になります。
取材やインタビュー、写真撮影、原稿作成など、準備工程が多く、企画から公開まで一定のリードタイムが必要です。
また、内容が個別の体験に依存するため、読者が自分には当てはまらないと感じるケースが生じやすく、伝え方に配慮が求められます。
企業側の協力が必須となるため、情報開示の範囲や取材対応の調整がスムーズに進まない場面もあります。
継続的に質の高い素材を確保する運用力が求められることも注意すべき点です。
成功事例の導入ポイント
導入時は「誰のどんな転職体験を紹介するか」を明確化し、読者が自分事として捉えやすい構成を意識することが重要です。
職種・年齢・転職理由など、求職者の検索軸に近い分類を採用すると、閲覧や応募への流れが自然に生まれます。
取材ではストーリーの起伏を意識し、転職前の課題や不安、決断の背景、新しい職場での変化を具体的に引き出すと読み応えが出ます。
公開後は特集ページや求人詳細とのリンクを最適化し、サイト内の導線に組み込むことで継続的に活用できるでしょう。
その他のコンテンツ案
求人サイトには、既存の定番施策だけでなく、独自性を打ち出せる新しいコンテンツを加えることで、ユーザー体験を大きく向上させる余地があります。
実際のところ多くの求人サイトは、特集ページ・ブログ・インタビューなど似た構成になりがちです。
読み物系の情報は確かに有益ですが、他サイトとの差別化にはつながりにくく、求職者が「このサイトならでは」と感じるポイントが弱くなります。
たとえば、企業や先輩社員に気軽に質問できる相談コンテンツを設ける方法があります。
飲食ポータルや地域情報サイトのように、利用者と掲載者がやり取りできる仕組みを参考にすると、転職の不安を軽減し、応募前の理解促進に役立ちます。
求人サイトはリピーターが多い業態ではありませんが、こうしたコミュニケーション機能があれば、利用意欲の向上が期待できます。
定番の枠にとらわれず、ユーザー同士や企業との接点を増やすコンテンツを取り入れることで、求人サイトの魅力を高められるでしょう。
まとめ
求人サイトという枠にとらわれず、求職者に「ここは使いやすい」「必要な情報が揃っている」と感じてもらえるコンテンツを設計することが、成果につながる大きな要因になります。
どのサイトも似た構成になりやすい状況だからこそ、自社らしさを打ち出す工夫が効果を発揮します。
本体サイトの中に組み込むだけでなく、別媒体として展開する方法も有力です。
専門職の情報発信サイトや、職種理解を深める読み物サイトなどを独立させることで、興味関心の入り口を増やし、求人との接点を自然に作り出せます。
テーマ性のある外部コンテンツは、ユーザーの滞在や再訪を促し、最終的に求人応募へとつながる流れを作りやすくなります。
既存の枠だけに頼らず、ユーザーの不安や疑問を解消する仕掛けを増やすことが、求人ビジネスの成長に直結します。
独自の視点を活かし、魅力的なコンテンツづくりに取り組んでみてください。




