求人サイトを成功させるには利用してくてくれるユーザーを探すだけでなく、「見込み客」を集める必要があります。見込み客とはマーケティング用語で、商品やサービスを買う可能性のある顧客のことを指します。
求職者なら「会員登録をしてくれる」「求人情報に応募してくれる」ユーザーが見込み客となり、企業なら「求人情報を掲載してくれる」「有料サービスを利用してくれる」ユーザーが見込み客となります。
ただし、ひとくちに見込み客といっても様々な状態の人がいます。今すぐ欲しい人もいればそうでない人もいます。気にはなっているものの、買う(契約する)までには至らない状態の人も少なくありません。
集客しても個々の状態によって売れる・売れないという結果が変わってくるため、ただ見込み客を集めれば良いわけではありません。顧客の状態を見極め、適切なアプローチをする必要があります。
そこで見込み客を想定する上で、以下の4つに分類します。
- 今すぐ客:「今すぐ購入したい、必要である」と思っている客
- お悩み客:「今すぐではないが、購入する必要がある」と思っている客
- そのうち客:「いずれ買いたいけど、すぐに必要ではない」という客
- まだまだ客:「いつか買うかもしれないが、今は必要ない」という客<
このような分け方はマーケティング関係のサイトや書籍でよく紹介されているので、ご存知の方も多いかもしれませんね。(※当記事では各状態の詳しい解説については控えますので、気になる方は検索してお調べください)
そしてマーケティングの世界では一般的に「今すぐ客」を集めるのがもっとも効果的だと言われています。なぜなら、顧客が「今すぐに欲しい!」と思っているわけですから、今すぐ客に見つけてもらえれば購入してくれる確率が高くなるからです。
しかし、求人サイトは今すぐ客ではなく「そのうち客」を狙います。お悩み客でもありません。あえて、いずれ買えばいいと思っているそのうち客を狙うのです。特にこれから求人サイトを構築する方は、そのうち客を狙うことこそが成功の近道となります。
そこで今回はなぜ求人サイトの集客でそのうち客をターゲットにするべきかについてお話したいと思います。なんとなく求人サイトを構築して宣伝しているという方は、ぜひご参考ください。
求人サイトのそのうち客とは
それでは求人サイトの「そのうち客」とはどういった客(ユーザー)のことをいうのでしょうか?ひとことで言うと、「今すぐ職探しをしなくても良いと思っている人」のことです。
学生だけどまだ就職活動をする時期ではなかったり、スキルアップをしたいと思っているけど、今の職場にそれほど不満がない人などです。「○○業界は人手不足、時給がアップした」などのニュースを見て興味をもった方もいるかも知れません。
そういった「今すぐ職探しをする必要はないけどなんとなく気になって検索した。求人サイトを見ようと思った人」が求人サイトのそのうち客です。こういった人たちは表立って公表しないため、マーケティングをする上で見えにくいです。
しかし、見えにくいからこそ競合は少ないです。そのうち客をターゲットとすることで、ライバルサイトとは違うアプローチで集客することができるようになることでしょう。
今すぐ客・お悩み客はライバルが多い
冒頭ではマーケティングの世界では今すぐ客を狙うのがもっとも売上に繋がると説明しました。小売やサービス業などでは当然のこととして認識され、求人サイトの集客でも基本的にそれは正しいことだと言えます。
しかし、売れる見込みが高いということは、それだけライバル(競合)も多くなります。レッドオーシャンと呼ばれ、みんなで限られたパイを奪い合っている状態です。いくら売れる見込みが高くても、その中で突出するのは至難の業です。
しかも見込み客が多い分野は大手の求人サイトが狙っています。テレビCMなどの広告宣伝を頻繁に行い、豊富な資金と経験でユーザーの囲い込みを行っています。とても個人・小規模レベルでは太刀打ちできません。
今すぐ客だけでなく、「お悩み客」も同様のことが言えます。購入するか悩んでいる客に「今買うとこれだけお得ですよ!」と特典をつけ、今すぐ客になってもらうように誘導しています。
この事実から、新規(または小規模)の求人サイトが今すぐ客・お悩み客をターゲットにするのは至難の業です。同じ土俵で戦っても疲弊するだけで、やがて廃業へと追い込まれてしまいます。
個人・小規模サイトを運営するのなら、大手サイトと同じことをするのではなく、別の考え方が必要になるでしょう。
そのうち客ならサイトの規模で判断しない
一方、そのうち客はサイトや事業者の規模で判断しません。興味があるなら見てみようと思うし、自分の好みに合えば会員登録やお気に入り登録(ブックマーク)することもあります。
あなたも検索してたまたま見つけたサイトにアクセスしたり、気になってブログを読んだりした経験があるのではないでしょうか?現実世界でもたまたま目に止まって入店したり、商品を手にすることがあると思います。
今すぐ客・お悩み客と違ってそれほど必要性を感じていないため、“ながら見”ができます。そこに有名・無名は関係ありません。ただ自身の感情に赴くままに興味を注いでいる状態です。
しかし、そのうち客だからといって全くビジネスに繋がらないかと言えばそうではありません。「そのうち買えばいいや」と思っていても、興味が湧いたり、欲しいという感情になれば購入に繋がります。
なぜなら、印象に残っていることで、「欲しいな(欲しいかも)」と思った時の選択肢になるからです。あるいは見てもらうことで「欲しいな」という感情を喚起することができるかもしれません。
たまたま通りがかったお店でたまたま見つけた商品を購入したり、パンフレットだけもらってあとから必要になった時に見返し、購入するのと一緒です。そのうち客も大切な未来のお客さまなのです。
そのうち客を集める3つの手法
それでは求人サイトでそのうち客を集めるにはどうすれば良いのでしょうか?コストがあまり掛からず、誰でも実現できる集客方法を3つご紹介したいと思います。
そのうち客向けの記事を書く
まずもっとも効果があると思われるのが「そのうち客をターゲットにした記事を書く」ことです。求人サイトに限らず、Webサイトは文字情報を与えてユーザーの関心を抱いてもらうことが重要であるため、記事を書いて集客するのがもっとも効果的です。
記事を書くことで検索エンジン経由のアクセスにも繋がります。そのうち客は強い衝動がなく、たまたま情報を探している方が多いので、SNSやクチコミよりも検索エンジンを利用することが多くなります。
また、そのうち客用の記事は今すぐ客やお悩み客用の記事と比べて書きやすいです。幅広い視点で書くことができるので、記事作成コストもそれほど掛からないのではないでしょうか。
たとえそのうち客用の記事であっても数が増えてくることでサイトの質に繋がります。「この求人サイトは詳しい!丁寧に説明している!」となれば、リピーターになってくれることもあるでしょう。
求人サイトのジャンルにもよりますが、職業についての説明や業界ならではの豆知識など、様々な視点で多くの記事を掲載するようにしてください。
資料請求フォームを用意する
求人サイトの特徴やアピールポイントをまとめた資料(主にPDF)をダウンロードすることができるフォームを用意します。資料請求フォームを用意することで、個人情報(名前やメールアドレスなど)を得ることもできます。
多くの求人サイトでは「採用企業の資料請求フォーム」のみ用意されていますが、求職者向けの資料請求フォームも用意します。資料の内容はサイト上に記載されていることとほぼ同じでも構いません。
駅ナカで配っている求人フリーペーパーをもらうのと同じような感覚です。資料があればネット環境がない場所でも読むことができまし、暇つぶしに読む人もいるでしょう。しかし、そのキッカケが後に繋がるのです。
手軽に資料請求ができるフォームを用意して、「あとで見たい」という気持ちを実現できるようにしましょう。
利用者の声を紹介する
そのうち客が気になるのが「これを買えばどうなるのか?」と言った“未来”です。求人サイトなら転職してどうなるのか?どうだったのか?と言った情報(求職者や企業の感想)になります。
たとえば現在、運送業界で人手不足が叫ばれていますが、人手を解消するために給与や待遇をアップしている会社が増えたというニュースを見かけることがあります。
ニュースをきっかけに求人サイトを見た時に、「就職した人の声」などの感想があればどうでしょうか?良い感想であればあるほど強い関心を持つことになるし、「自分も転職してみようかな」と思うようになるかもしれません。
利用者の声を紹介するには求人サイトとしてある程度の実績がなくてはいけませんが、少なくても大丈夫です。実績の少ないサイトであっても、利用者の声があることで安心できます。ECサイトのレビューと同じです。
あなたの求人サイトを利用したらどうなるのか?というのを第三者を通して訴えるためにも、利用者の声や実績紹介のコンテンツを用意しましょう。
まとめ
そのうち客をターゲットにする上で大切なのは「主観性」です。売り手として・プロとしてどう思うか?どう思っているか?を伝えることです。そうすることで、どこにでもあるありきたりな情報にはならず、オリジナル性が生まれます。
「今はそこまで必要でもない」というそのうち客に対して、誠実に・正確にメリットを訴えることで、「それなら欲しいかも…」という気持ちを喚起させるわけです。一見難しいように感じるかもしれませんが、サイト運営者なら誰でもできます。
当サイトも今すぐ客よりはそのうち客に該当する方からお問い合わせをいただくことが多いです。「求人サイト構築に興味があるけど、今すぐ必要ではない。悩んでいる」というような質問をよくされます。
お金が発生するわけですから慎重になるのは当然です。そういったお客さまには無理に営業することはなく、求人サイトのメリットを伝えたり、このブログを読んでもらうよう誘導しています。
その結果、依頼(発注)に繋がったこともありますし、以後音沙汰がなくなったこともあります。もしかしたら他社に依頼されているのかもしれませんが、お客さまの選択肢を増やすという意味では、良かったのではないかと思っています。
あなたがこれから集客活動をする時も、無理な営業や提案をするのではなく、顧客の選択肢を増やすようなアプローチをしてください。事業者として即売上に繋ぎたい気持ちもわかりますが、焦りは禁物です。
じっくりと自身の求人サイトに向き合い、顧客やユーザーにとって何が必要なのかを考えた上で、コツコツと情報発信していただければと思います。遠いようですが、最も効率的で確実な営業・マーケティング活動となるでしょう。