求人サイトで成果報酬型のビジネスモデルといえば「採用課金」が有名です。採用課金とは、企業が求人サイトから応募してきた人材を採用したときに、初めて課金(お金を請求)する仕組みです。
ジョブセンス(現マッハバイト)で採用課金を導入し、大きく成功したのをきっかけに、現在では多くの求人サイトで導入されるようになりました。もちろん、JOB-PLACEの求人システムでも導入されています。
採用課金の他に求人応募された時に課金する「応募課金」という仕組みもあります。どちらも求職者からのアクションがあってはじめて課金されるため、求人したい企業にとって好まれるビジネスモデルでした。
しかし、近年この成果報酬型ビジネスモデルを疑問視する声が出てくるようになってきました。成果報酬型求人にデメリットを感じる方も多く、以前よりは採用頻度が減ってきている印象です。
当サイトが納品した求人サイトもその傾向にあります。必ずしも成果報酬型の料金プランにするのではなく、掲載課金や月額課金など以前からある料金プランにする方も増えてきました。
とはいえ、成果報酬型求人が駄目だというわけではありません。採用課金や応募課金はこれからも課金方法のひとつとして求人サイトで使えますし、利用のきっかけになるビジネスモデルだと思っています。
そこで今回は成果報酬型求人を導入する上で、どんなことに注意し、どう変えていけば利用してもらえるようになるかについてご紹介したいと思います。
成果報酬型求人のデメリットとは?
成果報酬型求人は成果が生まれるまで費用が発生しないため、予算が少ない個人・小規模事業者に好まれるビジネスモデルだと考えられてきました。しかし、成果報酬型求人であるがゆえのデメリットも存在します。
そのデメリットが原因で「成果報酬型で求人しない」という企業も増えてきました。そこで、あらかじめ把握していただくために、「どんな点がデメリットに感じられているのか」についてご紹介したいと思います。
すべて自分でやらなくてはいけない
一番のデメリットだと考えられているのが「すべて自分でやらなくてはいけない」ということです。月額課金や定額制などと比べて最初にお金を払っていないため、基本的に自分(求人企業の担当者)で求人登録をして、文章を考える必要があります。
パソコンの操作や文章を考えるのが得意な方なら問題ないでしょうが、そうでない方にとって苦痛を感じる作業です。仮にパソコンの操作が苦手でなくても、作業に時間を要しますので、時間的コストがかかっていることになります。
複数採用すると費用が膨らむ
お店や会社によって一人ではなく、複数人を採用したいときがあります。1人1万円の成果報酬として、5人採用すれば5万円の採用費が発生します。採用人数が増えれば増えるほど多くの費用を払うことになります。
飲食店やアルバイトなどは離職率も高いため、せっかく採用してもすぐ辞めてしまうかもしれません。多くの人材を採用する企業にとって、不利だといえます。
集客面が不安
成果報酬型求人のみを行っている求人サイトは集客面に不安があります。最初にお金を払っていれば、運営者もその何割かを広告宣伝費に充てることができますが、成果報酬型求人はそうではないため、予算が限られます。
集客をするための行動を取りづらくなり、結果として「求人を掲載しても全く応募がない」という状態になるかもしれません。すると、せっかくがんばって求人登録しても無駄になってしまいます。
このように、成果報酬型求人にはいくつかのデメリットがあります。総じていえるのは「サポートが期待できない」という部分にあり、これが敬遠される原因にもなっています。
成果報酬型求人のデメリットは克服できる!
成果報酬型求人にもデメリットがあるとはいえ、それを克服する方法はあります。利用者は主にサポート面に不安を感じているわけですから、サポートを強化し、不安を取り除くサービス展開を行えば良いのです。
たとえばパソコンの操作に不安のある方には、操作方法を説明する動画を公開したり、マニュアルを用意します。それでも上手く操作できない方には「初回に限り無料で登録代行します」としても良いでしょう。
初めて求人サイトを操作する人よりも、運営者であるあなたの方が慣れているはずです。代わりに登録作業をしても、それほど時間はかからないのではないでしょうか。しかも初回だけなら損失も少ないです。
また、料金プランを工夫するのも効果的です。「月額サポートは○万円」「求人原稿の作成は1件○万円」「写真撮影や画像加工は有料」など、複数の有料サービスを用意することができます。
求人原稿を作成するのが苦手だという方のために、文章のテンプレート(雛形)を用意するという方法もあります。テンプレートがあれば考える時間は減るため、文章作成が苦手な人にとって助かります。
このように、成果報酬型の料金プランであっても、オプションとなる有料サービスを複数用意しておくことで、顧客満足度を向上させることができます。
有料サービスを用意しておけば、顧客は自分で選択することができ、運営者も利益を上げることができます。よりサポートや集客に力を入れることができるようになるでしょう。
成果報酬型求人サイトは副業で行う
成果報酬型の求人サイトで運営者のネックになるサポートやお金の問題ですが、これも考え方次第で克服することが可能です。それは「求人サイトを副業として行う」ことです。
求人サイトがメインで、それ一本で事業している場合、収入のめどが経つまでサポートや集客に力を入れるのは困難です。どしても営業が中心になり、売上を上げるために奔走することでしょう。
しかし、本業で一定の収入を得ているのであれば、最初から求人サイトに期待しなくても良くなります。求人サイト運営用の予算を割いて、サポートや集客に充てることができるでしょう。
また、本業で知り合った顧客に対するサービスの一環として求人サイトを提供する方法もあります。「パソコンが得意で求人したい人はご利用ください。成果が生まれるまで料金は発生しません」とすれば、過度なサポートを求められることもないでしょう。
いくら世の中が人手不足だといっても、新規求人サイトがいきなり求人掲載の依頼を受けるのは稀です。しばらくの間は地道に更新しながら、徐々に会員やアクセス数を増やしていく必要があります。
もしあなたが成果報酬型求人で懸念されているデメリットを克服できないと感じるなら、まずは副業的に運営されてはいかがでしょうか?その方が経営リスクも減ります。
成果報酬型求人のデメリットを逆手に取る
情報ブログなどから成果報酬型求人のデメリットが知られるようになってきました。人によっては、「この求人サイトは成果報酬型だから利用するのは止めておこう」と思われるかもしれません。
しかし、「成果報酬型求人のデメリットは克服できる!」でもご紹介したように、サポート内容やサービスを工夫することで、デメリットを逆手に取った営業をすることができます。
たとえば「他の成果報酬型求人サイトではこういったデメリットがあるけど、うちの求人サイトはこのようなサービスをしている」といった、比較記事を掲載します。デメリットを打ち消すことで、ユーザーの不安を軽減することができます。
あるいは「どうしても予算がないからサポートを重視できない」というのであれば、料金の安さをとことんアピールする方法もあります。携帯電話会社は「初期費用無料」や「実質ゼロ円」などと、よく謳っていますよね。
とにかく安く掲載したい人にとって、料金の安さは何よりもセールスポイントになります。サポートや他の部分が劣っていたとしても、「安いから仕方ない」と納得してくれることもあります。
このように、デメリットやユーザーの不安を放置するのではなく、それを逆手に取って別角度からアピールする方法もあります。ぜひあなた専用のアイディアを取り入れてみてください。
まとめ
今や成果報酬型求人を導入している求人サイトはとても多いです。ただ単に「成果があった時にお金を払えば良い」という料金プランを用意するだけでは、選ばれるきっかけになりづらいです。
ましてや「成果報酬型求人にデメリットがある」と知られるようになってきました。成果報酬や初回料金の安さを武器にセールスするのは難しくなっています。特に新規求人サイトは厳しいでしょう。
であるならば、成果報酬型求人のデメリットをしっかり把握し、それを補えるようなプランを考える必要があります。そして顧客から「デメリットがあるんでしょ?」と言われた時に、きちんと否定し、改善案を提出しなければいけません。
人が物やサービスを買う時に生じるのは期待より不安の方が大きいと言われています。不安を解消し、安心して購入できるような体制が整えば、喜んでお金を出してくれるようになります。
もしあなたの求人サイトで成果報酬を取り入れようと考えている場合、メリットだけに目を向けず、デメリットも考慮してください。そしてデメリットをプラスに変えるサービス内容にしていただければと思います。