求人サイトで売上を上げるためには、今すぐ求人を出したいと思っている、「今すぐ客」を集めるのが確実です。しかし、今すぐ客は会員数の多さや知名度の高さを重視するため、小規模な求人サイトは不利になります。
そうした理由から「今すぐ客より、将来的に求人すればいい思っている“そのうち客”を集めましょう」ということを説明したのが以下の記事になります。
そのうち客をターゲットにすることで、大手や有名な求人サイトと競うことなく、独自路線で求人ビジネスを行うことができます。これから求人サイトを作る方にとって、オススメのマーケティング戦略だとお伝えしました。
ただ、そのうち客狙いの営業・マーケティングは長期戦をしいられることになります。実際に売上が上がるまで時間がかかるので、当面の生活費や運営資金に困ることになるかもしれません。
特に会社の上司から指示されて求人サイトを作ろうとしている場合、時間のかかるそのうち客狙いの戦略は取りづらいです。できることなら売上に直結しやすい今すぐ客を狙いたいですよね。
実は求人サイトの今すぐ客は2種類にわけることができます。「本当に今すぐ人材が見つからないと困る客」と、「とにかく求人を出したい客」です。前者は会員数の多いサイトでないと難しいですが、後者は小規模サイトでも可能性はあります。
たとえば、社長から「3月で〇〇さんが辞めるから求人出しといてよ」と言われ、なんとなく求人を出そうとするケースが考えられます。切羽詰まった状況でもないため、予算に合えばどこでも良いとうケースですね。
「今すぐ客だけど深刻ではない客」はトラブルになることも少なく、心をつかみさえすれば購入(依頼)してくれます。あとあと優良顧客になってくれる可能性が高いため、ぜひ獲得したいところです。
そこで今回は今すぐ客を獲得するためのビジネスアイディアをいくつかご紹介したいと思います。「求人サイトを作って売上を上げたい!」という方はご参考ください。
リスティング広告と連携する
会員数やアクセス数が少ない求人サイトでも求職者を集める方法があります。それはリスティング広告を使うことです。Google広告やYahoo!プロモーション広告など、大手の広告配信サービスを利用します。
通常、このようなリスティング広告の利用は求人サイトへのアクセスを集めたり、求人掲載してくれる企業を募集するために利用します。特定の求人情報に対して行うことはあまりありません。
求人したい企業が求人サイトに頼らず自社で採用ページを作り、採用ページに対してリスティング広告を利用するケースはよくあります。たとえばGoogleで「トヨタ 求人」と検索してみてください。
検索結果に表示される広告欄には、トヨタ自動車の求人広告がいくつか掲載されています。広告のクリック先は独自の求人ページ(ランディングページ)になっており、大変見栄えが良いものに仕上がっています。
トヨタ自動車ほどの大企業であれば、同じように見栄えの良いページを作ってリスティング広告を出し、求職者を集めることはできるでしょう。しかし、ページ作成費用とリスティング広告費が発生するため、中小企業で同じことをするのは大変です。
そこで、あなたの求人サイトで代わりにリスティング広告を出し、顧客の求人情報を広告として配信するのはいかがでしょうか?顧客は求人ページを作成する手間もかかりませんし、広告費もいらないので、大変喜ばれると思います。
リスティング広告を見て求人ページに訪れるユーザーは、求人サイトの規模や知名度を重視しない傾向にあります。なぜなら求人検索して目当ての求人を探す場合と違い、広告として表示されているため、純粋に興味のあるものを選別しているからです。
リスティング広告を見て興味をいだいたユーザーは、そのまま求人応募するケースが多くなります。求人応募までたどり着くことができれば、顧客に対して絶好のアピールになるでしょう。
とはいえ、「リスティング広告で個別の求人を宣伝すると、莫大なコストがかかるのではないか?」と思われるかもしれません。確かに1クリックあたり100円以上の広告単価でないとまともに表示されないため、コスト負担は増します。
しかし、あらかじめクリックされる数を予測し、その分を求人掲載費の基本料金に組み込んでおけば良いのです。掲載料金が3万円なら4万円にして、100クリック分の1万円(1クリック100円相当の場合)を広告費として使用します。
100人もクリックするなら、そのうちの1人や2人は求人応募まで行く可能性があります。応募や問い合わせなど何かしら反応があることで、顧客満足度を向上させることができるでしょう。
求人ページの作成代行をする
今すぐ客は「今すぐ求人を出したい」と思っています。しかし、実際に募集内容を決めて求人情報を掲載するまでには、あれこれ準備しなくてはいけません。これは求人サイトでも他のメディアでも同じです。
今すぐ求人したいのに、やれ文章を作ってくれ、やれ写真をくれと言われたらどうでしょうか?めんどくさくなって止めたくなるかもしれませんよね。作成作業を代行してくれる求人サイトもありますが、料金は高くなり、時間もかかります。
そこで、今すぐ客向けに文章作成や写真撮影など、求人に必要なすべての作業を代行して請け負うのはいかがでしょうか?オプション作業としてではなく、あらかじめ基本料金の中に含めておくのです。
ただページを作成するだけではありません。依頼先の企業に出向き、採用担当者にインタビューして正確な文章を作成します。並行して写真撮影をしたり、画像加工処理をしても良いでしょう。
ポイントは「お金を出す価値がある」と思うサービスにすることです。単純に募集条件を羅列して簡素な求人ページを作るのではなく、顧客オリジナルの求人ページになるよう、最善の工夫を行うのです。
そうすることで、あなたの求人サイトが小規模だろうと会員数が少なかろうと気にはなりません。「ここまでやってくれるなら依頼してみよう」と思ってくれます。過去の実績よりも、実際に行っているサービスに価値を感じて依頼してくれます。
なお、文章作成や写真撮影をするときは、専門のライター・カメラマンを用意するのがベストです。予算的に厳しい場合は、取材(文章作成)をあなたが行って、カメラマンを外注しても良いでしょう。
返金保証をする
顧客が有名で大手の求人サイトを利用するのはアクセス数や知名度だけではありません。失敗したくないからです。特に今すぐ客はすぐに利用したいわけですから、いくつか比較して検討するよりも、大手を選ぶほうが失敗する可能性は減ります。
失敗とひとくちに言っても様々な心情がありますが、多くの方は「お金を無駄にしたくない」と思うのではないでしょうか?求人掲載料金を支払ったのに、ぜんぜん応募がなければお金の無駄になります。
お金を無駄にしたくないので、無名で小規模な求人サイトよりも有名な大手の求人サイトを選びます。求人サイトだけでなく、物販でも飲食でもなんでも同じですね。損をしたくないのでより確実な方を選ぶのは人間の心理として当然のことです。
しかし、大手の求人サイトは総じて料金が高いです。しかも、大手だからといって必ず応募があるかはわかりません。むしろ掲載されている求人数も多いため、他社との人材獲得競争に巻き込まれる可能性もあります。
ですので、一概に大手だから良い・無名だからダメということはありません。ビジネスとして大切なのは、顧客が損をしたと感じさせないことであり、どんなサービスが行えるのか?ということになります。
そういった観点から返金保証はとても有効な施策です。「求人掲載して○日間応募がなければ全額返済します」のような返金保証を付けることで、顧客の不安を和らげることができます。
ちなみに求人サイトには成果報酬という方法があり、応募や採用があるまで料金を請求しないビジネスモデルがあります。成果報酬は顧客にとって損しないビジネスモデルではありますが、運営者としてはお金が入ってこないので過度なサービスは行なえません。
しかし、返金保証なら最初にお金を支払ってもらえるため、運営資金にすることができます。返金額をいくらにするかにもよりますが、今すぐ客にとって魅力的な特典であることは間違いありません。
企業向けのエージェントサービスを行う
転職エージェント(または人材エージェント)というサービスがあります。エージェントと呼ばれる職業紹介者が、転職希望者に対して最良の求人を紹介したり、面談して職探しのサポートを行うサービスです。
エージェントは主に求職者のために存在します。求職者を企業に紹介して仲介料をもらうことを目的としています。そのためには求職者を集めなければいけないので、求人サイトを作っている場合もあります。
今回のビジネスアイディアは求職者に対するものではなく、企業に対するものです。企業から「こういう人材がほしい」と依頼を受けて人材を紹介したり、求人するためのコンサルティングを行います。
一見、人材派遣業と同じように思えるかもしれませんが、違いは「求職者を自ら探す」ことです。求職者が求人サイトに会員登録するまで待つのではなく、自ら顧客が希望する人材を探し出すのです。
「そんなことできるの?」と思われるかもしれませんね。企業と違い、個人がどんな人物でどんなスキルを持っているのか公開されているわけではありません。名簿屋から購入できる場合もあるでしょうが、高額であったり、違法性を感じる部分もあるでしょう。
しかし、一部の人材であればネットで探すことができます。Webデザイナーやイラストレーター、プログラマーやシステムエンジニアなど、IT・Web関連のスキルがある人達はネット上に個人情報を公開していることが多いからです。
特にフリーランスとして活動している方は、クラウドソーシングと呼ばれる仕事依頼サイトによく登録しています。プロフィールに年齢や所在地、スキルなどを公開しているので、求める人材を探しやすくなっています。
筆者もクラウドソーシングに登録していますが、定期的に仕事の斡旋を申し出てくる人がいます。筆者は主に仕事の発注目的で利用しているため、斡旋を受けることはありませんが、割とポピュラーな人材探しの方法だといえるでしょう。
また、SNSを駆使して探すのも面白いかもしれません。Twitterのつぶやきから良さそうな人にDM(ダイレクトメッセージ)を送信したり、Facebookなら実名なのでより探しやすくなるでしょう。
いずれの方法も相手が求職中とは限らないので、仲介を求められても断られることが多いと思います。しかし、今すぐ客にとってすぐ行動したり、相談に乗ってくれる人は喜ばれます。あなたの行動力を売上にいかせるきっかけになるかもしれません。
なお、エージェントとして活動するには厚生労働省から「有料職業紹介事業者」として許可を受ける必要があります。詳しくは「職業紹介事業パンフレット―許可・更新等マニュアル」をご覧ください。
まとめ
今すぐ客は購入に結びつく理想的な客のため、競合も多く、選ばれるためには相当の努力をしなければいけません。求人ビジネスという成熟した分野で今すぐ客をターゲットにするのは大変だと感じる方もいるでしょう。
しかし、今すぐ客の中にも様々な理由で「今すぐ欲しい」と思っています。買うこと自体は決めていても、売り手までは決めていない状態です。誰しもがブランドや価格の安さで商品を選ぶわけではありません。
あなたも欲しい物を買うためにお店に行ったのに、いざ売り場にたどり着いた時、横にあった無名の商品を手にとったことはないでしょうか?最低限の目的が達成されるのなら、知名度より内容(質)で購入を決定することもあるのです。
人がほしいと思う理由は千差万別です。それは今すぐ欲しいと思っている、今すぐ客でも同様です。今すぐ客の心理を分析し、適切なサービスを用意することができれば、売上に直結するようになるでしょう。
今すぐ客を対象としたマーケティング戦略を行う場合、ぜひ「どんなサービスがあれば購入するだろう?」を考え、サービス内容を工夫してみてください。