求人サイトの利用者は新規ユーザーが多いです。求人情報を探している時は何度もアクセスするので、厳密な新規とは違うかもしれませんが、一般的には就職先が決まるとアクセスしなくなるので、新規が多いと言っても過言ではないでしょう。
そのため新規ユーザーに向けたコンテンツ作りをするのも良いのですが、求人サイトもその他のサイト形態でも、リピーターをどれだけ獲得できるかがサイトの価値に繋がります。
リピーターがいることで採用企業に対しても「活発に転職活動が行われている場所」としてアピールすることができますし、アクセス機会が増えることでユーザーもSNSなどで宣伝してくれるかもしれません。
ですので、リピーターに好まれるサイト作りをし、何度も参照してもらえるような、使い捨てのサイトにならないようにするためのコンテンツ作りや情報提供をする必要があります。
そこで今回は新規ユーザーからリピーターに変えるためのコンテンツ案や方法について説明していきたいと思います。
転職や労働関係のコラムを書く
労働や仕事に関するニュースは毎日のように報道されています。特に現在は働き方改革を政府も促進しているため、働き方改革に関するニュースが増えている印象です。
子育て支援のために就業時間を調節したり、業務効率を行って残業を減らした職場など、働き方改革を率先して行っている企業(主に中小企業)がよくニュースになっています。
一方、良いニュースばかりではありません。ブラック企業という言葉がある通り、企業の待遇や体質の影響で労働者が虐げられているという事を紹介するニュースもあります。
サービス残業、パワハラ、過労死など、ブラックワードと呼ばれるこれらの就労問題。良いニュースがある反面、悪いニュースもよく報道されています。
これらのニュースに対しては主に労働者側がブログやSNSで自分の意見を発信しています。掲示板やコミュニティでは話題のテーマとして取り上げられ、熱い議論が交わされています。
求人サイトを運営していると、求職者(労働者)・企業のどちらの意見も頂くことがあります。求職者からはお問い合わせやSNSなどのメッセージで、企業からは直接話を聞くこともあるでしょう。
そこで、転職や労働関係のコラム(記事)を書くのはどうでしょうか?時勢に則っている話題を扱うことで、求職者・企業の双方に興味を持ってもらうことができます。
特に最近の話題に関する情報(意見)ですと、求人サイトとしても「きちんと更新しているしっかりしたサイトだ」として印象づけることができます。検索エンジンからも扱う情報が新しいほど評価されます。
求人サイトの運営者(担当者)は主に企業とやりとりをするので、利益の関係もあって企業側の肩を持ちたくなりますが、コラムはできるだけ公平な意見として書いてください。
ブラック企業が非難されているからといって「ブラック企業なんて存在しません!最近の若者が軟弱だから我慢が利かないだけです!」というような暴論は絶対に発言しないでください。
ブラック企業を容認していると受け取られ、求職者の利用が無くなるばかりか、SNSやブログなどであなたの求人サイトまで批判されてしまうかもしれません。(俗に言う、炎上という状態です)
ですので、転職や労働関係の時事ニュースを扱う時は、できるだけ公平な立場を主張し、求職者・企業双方の意見を汲み取った上で、「当求人サイトはこう思っている」という主張をしましょう。
そうすることで、求人サイトとしての独自性も生まれます。他所にはない求人サイトとして、転職活動に興味がない方でもコラムを読みに来てくれるかもしれません。
仕事あるあるをつぶやく
働いていると日々いろんなことが起きます。職場、勤務先、営業先、通勤途中、帰宅中など、「こんな面白いことがあった!」「こんな失敗をした!」という話は日々ネットで盛り上がっています。
社会人の1日の1/3は仕事(就労)に費やしている時間です。仕事中に発生する様々なイベントや出来事というのは絶好の話のネタになります。
そこで求人サイトの運営者自らが「仕事あるある」をSNSでつぶやくのはどうでしょうか?人々の共感を生み、興味を持ってもらえるようになるかもしれません。
転職サイト大手のエン転職では”縁ゆかり”というキャラクターを使い、日々の出来事や転職・仕事に関係することをつぶやいています。
参考:エン転職(縁ゆかり)(@en_tenshoku)さん | Twitter
面白いツイートをした時は、フォロワーから「いいね」されたり、リツイート(返信コメント)されたりします。
仕事というプライベートな情報が含まれる求人サイトをSNSで利用するのは難しいのですが、こういったキャラクターを通してつぶやかせることで、良い宣伝になると思います。
「求人サイト Twitter」「転職サイト Twitter」などで検索をすると、エン転職のように、キャラクターを使って何かつぶやいているTwitterアカウントが結構ありました。
ただ、仕事あるあるというよりも、求人サイトの宣伝になるような利用方法が目立ちました。それではただの宣伝になってしまうので、ユーザーに敬遠されてしまいます。
ですので、求人サイトの集客でSNSを使いたい場合は、仕事あるあるのように、宣伝っぽくない、誰もが共感できる話題をつぶやくと良いでしょう。
「面白い!」と興味を持ってもらえれば、求人サイトへの集客にも繋がりますし、転職活動をしていない方にも見てもらうきっかけになると思います。
求職者とやり取りできる掲示板を設置する
会員制の求人サイトの場合、求職者と企業がやり取りできる掲示板やメッセージ機能がよくあります。当方のJOB-PLACEにもメッセージ機能が実装されており、求職者と企業のやりとりが行えます。
しかし、これはあくまで非公開のやり取りであり、求職者と企業の1対1でしか閲覧することは出来ません。また、面接や履歴書の確認をする程度の、簡単なやり取りに終止されるでしょう。
求職者が転職活動をしている最中、様々な疑問や不安があると思います。ネットに多くの情報があると言っても自分ひとりで探すには限界があります。どうしても分からないことが出てくるでしょう。
親や友人・知人、学校の先生に直接聞くこともできるでしょうが、時間的な問題もありますし、やはり企業や現役で働く人に聞けたほうが参考になります。
そこで求人サイト内に掲示板を設置してやりとりできるようにするのはどうでしょうか?掲示板があることで、ユーザーは悩みや疑問を質問することができます。
ニックネーム式にして会員のみが投稿できる掲示板であれば、最低限の保守性は保たれます。悪意のある投稿を監視したり削除する必要はあるでしょうが、求人サイトは本名で登録するので、その比率も少ないでしょう。
また、会員だけでなく、企業も投稿出来るようにすれば、投稿内容を見た求職者に対するアピールにもなります。会員の悩みに的確に答える企業には信頼感も生まれるでしょう。
掲示板(トピック)を設置している求人サイトをいくつかご紹介します。
シニア(年長者)を対象とした転職情報サイトです。質問掲示板を用意しています。
ドライバー専用求人サイトです。コミュにてティ機能として質問を投稿できるトピックがあります。
看護師のコミュニティサイトです。求人専用サイトではないのですが、求人情報と併設してトピックは活発にやりとりされています。
看護rooのように、求人サイトとコミュニティサイトを別に用意しているところはあるものの、求人サイト内に掲示板やトピックを用意してやりとりできるようなサイトは少なかったです。
管理の大変さから運営者も敬遠しているかもしれませんが、掲示板のようなコミュニティ機能があれば利用促進には繋がるので、検討したいコンテンツではあります。
企業評価やクチコミを設置する
求人サイトで就職した人が企業を評価する機能です。評価機能があることで、求職者以外のその企業について調べたいユーザーもアクセスしてくれるようになります。
いくつか企業の評価機能を設置しているサイトをご紹介します。
その企業で実際に働いたことがある社員の声を紹介しているサイトです。企業に対する評価を細かく掲載しています。社員のクチコミだけでなく求人情報も掲載しているので、企業から承諾を得て公開していると思われます。
クチコミは細かくデータ分析がされており、内容も辛辣な意見が多く感じます。通常、マイナスとなりかねない評価を公開されるのは嫌う企業が多いのですが、VORKERSは全て公開しているようです。(よほど酷いのは消しているでしょうが)
それでもなお求人情報がある、提供してくれる企業がいるということは、それだけVORKERSが企業に信頼されている証拠でもあります。
60万社以上の企業データと従業員のクチコミを評価点数で公開しているサイトです。こちらも求人情報が公開されているので、求人サイトだといえます。
※ただし、求人情報はジョブセンスやDODAなどの大手求人サイトとの提携により、情報を得ているようです。
企業の評判を細かくグラフ形式で公開しており、イメージがつかみやすいです。評判以外にも年収や面接内容も公開しており、これからその企業で働こうと思う求職者にとって、大変参考になると思います。
クチコミの質を保つための取り組みも行っています。クチコミ内容を全件・全文目視で直接監視したり、やらせや不正対策も行っていたりと、かなりの本気度が伺えます。
エン転職のエン・ジャパンが運営する会社クチコミサイトです。100万件以上のクチコミがあり、とにかく情報量が多いです。
評価データやレポートは他のクチコミサイトと同じく詳細で分かりやすいです。また、キャラクターを使っているので親しみやすさがあり、たとえ悪い評価があったとしても嫌悪な雰囲気を緩和しています。
評価スコアの給与・年収、勤務時間・休日休暇、福利厚生、社内制度、会社の強み・将来性など、細かく数字で分析しているので、分かりやすいです。大手企業ほどクチコミも多いでしょうから、詳細に分析することが出来るのでしょう。
以上、有名な3つの会社評価系クチコミサイトを紹介しました。このようなサイトは新しい求人サイトの形だと思いますし、求職者の立場として考えると大変参考になります。
それぞれが求人情報を運営している(または情報提供を受けている)だけに、企業側もある程度は承認済みだと思います。それなのにここまで詳細なクチコミを集められるということは、求人サイト自体に信頼性がある証拠ではないでしょうか。
ただ大手求人サイトだから出来るというわけではありません。小規模な求人サイトであっても、企業にしっかりと主旨を伝え、クチコミの重要性を伝えることで、賛同してくれる企業も出てくると思います。
ネットのクチコミはどうしても悪い評価が集まりやすいので企業にとってはマイナス面もありますが、求職者としては商品を買うときと同様に、「クチコミがあるから応募する」という決断の要因にもなります。
アンケートを募集して公開する
求人サイトで就職した人にアンケートを実施し、アンケート結果を公開します。クチコミや評価機能と似たコンテンツではありますが、用意された設問に答えるだけのアンケートのほうが、答えやすいです。
企業のクチコミでネックだった、「特定企業への批判」を減らすことができ、単純な意見の集計として公開できます。資料としての役割もあるので、求職者以外の人も見てもらえるようになります。
アンケートを実施している求人サイトをご紹介します。
エン転職で実施されたアンケートを公開しています。「仕事の満足度」や「転職のきっかけ」など、回によってテーマが決められており、そのテーマに関するアンケートが公開されています。
テーマ別に分かれているので、どんなテーマが求職者(会員)にとって注目があるか知ることもできます。
・ジョブリンクアンケートキャンペーン | 派遣の求人情報なら【ジョブリンク】
派遣求人サイトのジョブリンクは、仕事や派遣に関する様々なテーマでアンケートを実施しています。
テーマは「派遣というワークスタイルについて」「派遣法について」という、派遣社員という働き方に対するアンケートから、「「お仕事の悩み」「ストレスと解消法方法」というメンタルのことまで、広く扱っています。
・データで見る社会人の本音 ホンネの転職白書 |転職ならDODA(デューダ)
転職を考えている人たちを対象に、仕事や転職、生活や将来についてなど、DODAが独自に調査・リサーチしたデータを公開しています。
DODAの会員や利用者に対する調査や、ネットリサーチ会社を利用したインターネット調査を元に、テーマ別でグラフなどを使い、詳しく紹介しています。
ネットのリサーチ会社を使うのも一つの手段なんですね。自サイトに会員があまりいなくても、リサーチ会社を利用することで、このように見栄えのする情報コンテンツを作ることができます。
まとめ:求人にとらわれない情報コンテンツが必要
以上、5つの新規ユーザーを獲得するためのコンテンツをご紹介しました。どれもリピーターを呼び込み、繰り返し閲覧することができる、貴重な情報コンテンツだと思います。
今回ご紹介したコンテンツ案は求人や転職など仕事に関するコンテンツを主に取り上げてみましたが、リピーターを増やすためにはまとめ:求人にとらわれない情報コンテンツが必要だと思います。
例えばアンケート結果は資料として役に立ちます。筆者もこの運営ブログを書く時の資料として参考にする時があります。不特定多数が回答した結果をグラフ表示してあるので、その数値から労働環境や世相を読み解くことができます。
アンケートもクチコミもそうですが、資料としてまとまっていることで、繰り返し確認することができます。求職者・就労者問わず、価値が高いコンテンツになります。
一方、掲示板やコミュニティに関する機能は少なめです。求職者が第三者に相談できるコンテンツはまだまだ整備されていないようですが、これらのコンテンツは求人サイト以外のポータルサイトでは、ほぼ当たり前にある機能です。
悪意のあるユーザーやいたずら投稿をどう防ぐかが鍵になりますが、掲示板やコミュニティ機能のように、ユーザーが自ら情報発信するコンテンツがあれば、新規ユーザーからリピーターになってもらいやすいです。
今はスマートフォンで気軽に写真や動画をとれますので、転職活動の様子や勤務風景などを投稿することで、新しい求職者にもアピールできます。それが企業の人材確保と離職率低下につながるかもしれません。
求人サイトは求人情報を掲載する企業に配慮して、求職者向きのコンテンツや機能が少なめな印象を受けますが、今後は求人にとらわれないコンテンツを設置して、求職者も楽しめるサイトを目指していただければと思います。