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賃上げ企業を求人サイトでも優遇する方法

賃上げ企業を求人サイトでも優遇する方法のイメージ

政府は来年度の税制改正で、賃上げ(社員の給料を上げる)をした企業に対して法人税などの税負担を引き下げる優遇処置を検討しているそうです。

政府は来年度の税制改正で、企業の賃上げや設備投資を促すため賃上げをした企業の法人税などの実質的な税負担の割合を、25%程度に引き下げる新たな税制上の優遇措置をもうける方向で、今後、与党と調整を進めることにしています。

賃上げ企業に新たな優遇措置検討へ 来年度の税制改正 | NHKニュース

まだ検討段階であり、具体的な基準やいくら軽減するのかは決まっていませんが、これが実現するなら「法人税を払うぐらいなら社員に還元する」といった企業が増えるかもしれません。

いくら株価が上がり景気回復したと言われていても、労働者の給料が上がらないことには浸透しません。現状は企業の内部留保が多く、賃上げに結びついていないので、是が非でも対策して欲しいところです。

ところで、賃上げは今年になって官民一体で取り組んでいるように感じます。先日もヤマト運輸が臨時アルバイトの時給を2000円で募集しているとニュースになりました。

宅配最大手のヤマト運輸が一部地域で、12月の夜間に勤務する臨時アルバイトのドライバーを時給2000円で募集していることが14日、分かった。お歳暮やクリスマスプレゼントで配達が増える年末繁忙期の人手確保が狙い。

年末夜間、時給2000円=横浜などで人手不足-ヤマト:時事ドットコム

今後も人手不足からいろんな業界で賃上げし、人材確保を進める企業が出てくると思います。労働者にとっては良い傾向ですので、求人市場も盛り上がれば良いですね。

ただ、ヤマト運輸のように有名な企業なら「賃上げをした」ことがニュースになっても、中小・零細企業は公になりにくいです。比較する情報がありませんので、「賃上げをして社員に還元している会社」だと認識されづらいです。

そこで求人サイトの出番です。求人サイトで賃上げをした企業を公表することで、優良企業として認識してもらいやすくなります。そうすればより良い人材が応募してくるようになり、人材確保につながります。

人材確保の効果が出ることで、他の企業も追随して賃上げをするようになるでしょうし、結果的に労働環境の改善や雇用対策にもつながるのではないでしょうか。

前置きが長くなりましたが、今回は「賃上げ企業を求人サイトでも優遇する方法」として、求人サイトでできる優遇処置の方法をご紹介したいと思います。

目次[非表示]

賃上げの判断基準について

まずはじめに「企業が賃上げしたかどうかを判断する基準」を作らなければいけません。基準値があって、それに対して値が上昇していることを証明しないと、虚偽の情報を伝えることになってしまいます。

求人サイトで企業の賃上げを判断する場合、主に2つの方法があります。

  • 過去の求人情報から判定する
  • 平均時給や給与から判定する

「過去の求人情報」は、求人サイトで過去に登録された求人情報のデータから判定することができます。同じ職種・雇用形態で再募集した時に、前回より給料が上がっているか判定するだけなので、かんたんです。

「平均時給や給与」については政府が公開している情報を使用し、その基準値から判定すれば良いでしょう。数年運営している求人サイトならデータが蓄積されていますので、サイト内の平均値から比べても良いと思います。

また、かんたんではありませんが「ハローワークの平均値を取得して判定する」方法もあります。ハローワークの情報はAPIとして公開されていますので、新たにプログラムを作れば可能です。

ハローワークの給料と比較することで、「この求人サイトはハローワークよりも給料が高い求人が多いですよ」と宣伝することもできます。そうすればハローワークの利用者を取り込めるかもしれません。

ただし、ハローワークの迷惑になるような使い方は利用規約に抵触する可能性があるので注意が必要です。あくまで営業妨害にならない範囲で、給料の判断基準として使用することはできると思います。

求人情報に賃上げマークを表示する

企業の賃上げをわかりやすく紹介する方法として、「求人情報に賃上げをしたことを示すマークを表示する」方法があります。色文字やアイコン画像で表示することで、求職者にわかりやすく伝えることができます。

賃上げマークは求人検索結果(求人一覧)のページでも表示するようにします。求人検索フォームに「賃上げした企業」という項目を付けて、検索できるようにしても良いかもしれません。

賃上げマークがある/ないは他社との差別化にもなりますので、賃上げした企業に対する優遇にもなり、企業の賃上げ促進につながるのではないでしょうか。

賃上げした企業をサイトの目立つ位置に表示する

賃上げした企業を求人サイトの目立つ位置に表示します。トップページなら真ん中上の位置になるでしょうし、求人一覧ならページタイトルの下になるかと思います。

賃上げした求人は「おすすめ求人」として表示しても良いと思います。いずれも賃上げした求人としていない求人を区別することで、賃上げした企業に対する優遇になります。

求人数が多い求人サイトの場合、一覧の下の方に表示されると目立ちません。より良い人材を獲得するためにも、「自社も賃上げしてアピールしたい!」と思う企業が増えるのではないでしょうか。

賃上げした企業を特集ページで紹介する

賃上げした企業を特集ページで紹介するのも良いアピールになります。特集ページとしてまとめることで”特別感”がでますので、賃上げした企業に対する優遇になります。

求人情報は掲載期間があっていずれ表示されなくなりますが、特集ページは過去データとして残すことができます。それはSEO対策にもなりますし、「この企業は賃上げをした優良企業だ」と認識してもらいやすくなります。

ただ賃上げをした企業を紹介するだけでなく、時期やイベント(就活シーズンなど)ごとに分けて作ると、多くの特集ページが作れるので、何度も紹介することができます。

賃上げした企業にインタビューして紹介する

特集ページは賃上げした企業をまとめて紹介するページになるので、ある程度の数が必要です。求人数が少ない求人サイトや作ったばかりのサイトでは難しいので、個別にページを作って紹介します。

その際に企業に直接インタビューして、賃上げの意図を聞くのが効果的です。「どうして賃上げしたのか?」という理由は会社の規模に関係なく、誰もが知りたい情報です。

直接企業にインタビューして賃上げの意図を聞き出すことで、企業それぞれの想いや物語を紹介することができますし、その企業に対するイメージアップにもなります。

まとめ

以上、賃上げをしている企業を優遇する方法をご紹介しました。どれも求人サイトやシステムを大きくカスタマイズすること無く、実現できそうな方法だと思います。

筆者が知るところでは、賃上げした企業を紹介したり、わかりやすく表示するような仕組みを取り入れている求人サイトは見当たりませんでした。(特集ページで給料の高さをアピールしているところは多いと思います)

今は求人サイト側で企業の賃上げを意識した対策やアピールを行っていないのが現状です。これから求人サイトを作る場合、企業の賃上げを意識したコンテンツが必要かもしれません。

今年になって有効求人倍率の増加や時給アップのニュースが大きく報じられるようになりました。しかし、いくら数字の上であがっていると言われても、求職者の大多数は実感が湧いていないのではないでしょうか?

賃上げは企業にとって大変重い決断です。人件費が増加することで経営を圧迫し、倒産の可能性が高まるからです。多くの企業はそれを恐れて賃上げになかなか踏み切れません。

今回、政府が賃上げした企業に優遇処置を検討していると報道されましたが、人材の入口となる求人サイトでもなにかしら優遇処置が必要になるのではないでしょうか?

ネットではブラック企業やブラック求人ばかりが注目されがちですが、賃上げという重い決断をした企業も注目されるようになって欲しいです。優良企業を正しく求職者に伝えるのも求人サイトの使命のように思います。

優良企業が増えることでブラック企業が減り、雇用改善と労働市場の活性化につながります。ひいてはそれが景気対策や少子化対策にもつながっていくように思います。

ぜひ求人サイトでも賃上げをした企業をアピールできるような仕組みを取り入れ、優良企業を増やす努力をしていただければと思います。

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