早いもので2019年も残りわずかとなりました。2019年は元号が令和に変わり、新しい時代の幕開けとなりました。ただ、台風などの災害が多かったり、消費税が10%に増税されるなど、マイナスな出来事が多かった印象もあります。
当サイトがテーマにしている求人業界(人材業界)もいろいろなことがありました。相変わらず人手不足が毎日のようにニュースになる一方、雇用改革・働き方改革はまだまだといった状況です。
そこで2019年に求人業界で起こった出来事を振り返りつつ、求人業界のこれからについて考えてみたいと思います。
リクナビ内定辞退予測サービスが大きな問題に
2019年8月に就活情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリアが、本人の同意なく学生の内定辞退率を予測して企業に販売していたのが発覚しました。
参考:就活生の「辞退予測」情報、説明なく提供 リクナビ:日本経済新聞
後に個人情報保護委員会から勧告・指導を受けてサービスの停止となりましたが、個人データを勝手に販売していたことから、大きな批判を呼びました。利用していた企業の中に大企業も含まれており、様々な波紋を呼んでいます。
2019年12月時点でもたびたびニュースで取り上げられており、辞退率予測サービスの契約をした企業に行政指導が入るなど、まだまだ影響は広がりそうです。残念ながら2020年以降も話題になるかもしれません。
求人業界の最大手であるリクルート社がこういった問題を起こしたことで、少なからず求人業界全体に悪影響を与えたのではないでしょうか。「求人サイトは信用できない!」と思う求職者も増えたと思います。
また、「求人サイトを利用して失敗したくない!」という企業も増えかもしれません。リクナビを利用していた大手企業がニュースに取り上げられ、行政指導を受けたり、批判されている状況です。そのように考える企業が増えてもおかしくありません。
ただ、今回の件はリクルートだけでなく求人業界全体で考えなくては行けない問題です。個人情報の管理が甘かったり、あいまいにしている求人サイト・サービスも多いと感じるからです。
大手のリクルートだからこれほど大問題となりましたが、たとえ小規模であってもしっかりとした個人情報管理は必要です。求職者が安心して利用できるサービスを提供するためにも、求人業界全体で改善しなくてはいけない問題です。
Googleしごと検索が開始
2019年1月23日に「Googleしごと検索」というサービスが開始されました。
Googleしごと検索とは、かんたんに言えばGoogleの検索結果画面に求人情報が表示されるサービスです。「webデザイナー 求人」で検索すると、Webデザイナーに一致する求人情報が表示されます。
検索結果に表示される求人情報は、求人サイトや企業の採用ページにある情報です。構造化データのマークアップ(職種や給与の情報をGoogleが読み取れるようにするコードの書き方)をした求人情報が表示されています。
Googleしごと検索の登場で、求職者は良い求人を見つけるチャンスが増え、採用側は多くの人材にアピールする機会が増えます。求人サイトもアクセスアップにつながるため、商機が増えます。
まだサービスが開始されて1年も経っていませんが、基本的にテキスト中心の構成であるため、既存メディアと競合することはないでしょう。求人業界にとってプラスになったサービスではないでしょうか。
就職氷河期世代の支援
政府主導でいわゆる就職氷河期世代に対して、職の斡旋や職業サポートなどを支援することが発表されました。内閣府に新部署を設立したり、3年間で650億円超えの行動計画をまとめるなど、本気で対策しようとする姿勢が見えます。
参考:就職氷河期世代支援 3年間で650億円超 行動計画まとめる 政府|NHKニュース
当ブログでも先日記事にしました。(下記参照)筆者自身も氷河期世代であり、今回の支援をきっかけに同世代の人たちが就職しやすくなるなら良いことだ、と好意的に捉えています。
しかし、さまざまな掲示板やSNSなどで反応を見ると、みなさんの評価はイマイチです。「もう遅い」とか「今更やっても手遅れ」といったようなマイナスのコメントが多かったです。
確かに中高年になってから支援されても遅いと感じるし、苦しい時期の記憶がある分、受け入れがたいのかもしれません。体力も落ちているので、若者世代と比べて同等に働けるわけでもないでしょう。
それでもやらないよりやってくれた方が良いと思っています。ただでさえ40代以降は就職しづらくなるのですから、少しでもプラスになる要素があるならそれを利用する方が得だと思うのです。
厳しい意見もあると思いますが、実際に今回の支援が求人業界の中でどう活用され、どのように雇用情勢を変えるのか、引き続き注視していきたいと思います。
有効求人倍率は微減から横ばい
2019年も依然として高い水準が続いています。最新(2019年10月)の有効求人倍率は1.57倍でした。
参考:10月の有効求人倍率は1.57倍 高水準を維持|NHKニュース
2018年の平均有効求人倍率は1.61倍でしたので、それと比べると7月~10月は4ヶ月連続で1.6倍を下回ったことになります。多少減ってはいるものの、まだまだ高水準であるといえます。
政府も雇用対策を次々打ち出していますし、民間企業も人手不足を解消するために、採用に積極的になっています。大きな景気悪化が無い限り、2020年もこの流れが続くのではないでしょうか。
ただ、少し心配なのは2021年以降ですね。オリンピックが終わって製造業などの求人が減るとどうなるかわかりません。増税の影響で景気も低迷しているので、求人に追い打ちをかけないか心配です。
根本的な人手不足が解消されているわけではないので、極端に求人がなくなるわけではないでしょうが、少し懸念材料ではあります。
2019年も多くの企業が上場を果たす
筆者が調べた限り、2019年に求人・採用に関係する企業で上場したのは7社ありました。その中でも求人サイトの運営・人材マッチングサービスの提供がメインの会社は4社あります。
メドレー株式会社は医療介護求人サイト「ジョブメドレー」を運営しています。医療系の求人サイトとしてよく取り上げられており、転職体験談や事業所インタビューなど情報提供もバッチリです。
株式会社ジェイックでは「特性マッチング求人サイト」という性格特性を分析し、自分にあった企業を探すサービスを提供しています。今風のマッチングスタイルで、若者にウケそうです。
ギークス株式会社ではITフリーランス専門の求人サイト「geecs job」を提供し、IT人材の活性化を図っています。一方、株式会社コプロ・エンジニアードは、建設のエンジニアを応援する「現キャリ」を運営しています。
このようにメインとなる求人サイトを作り、それぞれの強みを生かしたサービスを提供することで、上場を達成しました。もちろん、求人サイトだけではありませんが、求人サイトが上場のきっかけになったといっても過言ではないでしょう。
毎年のように求人関係の企業が上場しているところを見ると、昨今の人手不足による需要増が続いている証拠でもあります。求人ビジネスはスタートアップを目指す方にもオススメです。
まとめ
この他にも大小問わずさまざまな求人関連のニュースがありました。外国人労働者問題は解決の糸口が見えないし、高齢者や障害者に対する雇用環境も変わっていません。2020年以降も引き継がれる課題だと言えるでしょう。
求人サイト・サービスを見ても、良いサービスは生まれているものの、あまり人々に浸透していない印象があります。「求人マッチングが正しく行われていない」ということを指摘する記事も見かけました。
依然、就職活動はインターネットが中心だと思いますが、人々が望む求人マッチングが行われていないのは事実です。「リクナビ内定辞退予測問題」もありましたし、もっと人々に信頼されるサービス提供をする必要があります。
ただ、当サイトも偉そうなことを言えたぎりではありません。システムアップデートをあまりしていませんし、ブログの更新も滞りがちです。お客さまのお問い合わせに対しても、お断りすることが多く、十分な対応ができたとは言えなかったです。
まずは、自分たちが努力して、ひとつでも多くの求人サイト・サービスを提供するのが大事ですね。2020年はこれまでの反省を踏まえて、求人業界も当サイトも明るい話題が提供できるような年になればと思います。