大手広告代理店の電通は3月11日に、2019年の広告費に関する調査結果を発表しました。
記事によるとテレビの広告費は1兆8612億円で、3年連続の減少となる一方、ネットの広告費は2兆1048億円となり、急速に成長していると報告しています。日本の総広告費も伸びていることから、ネット広告の躍進が影響していると思われます。
個人的には「まだテレビを抜いていなかったの?」と言った印象ですが、それは筆者がWeb業界の人間であり、テレビを見なくなって久しいからかもしれません。こうやって数字で表されると、改めて実感します。
ネットの広告費といえば、Googleや検索エンジンに表示されるリスティング広告やTwitter、Facebookに掲載されるSNS広告、個人サイトに掲載されるアフィリエイト広告などが有名です。
しかし、今回の調査で注目なのが「ECサイトに対する広告費」です。記事の説明が少々わかりづらいですが、要は楽天やYahoo!ショッピングに参加している加盟店が集客するために使用した広告費だと推察できます。
ECモール内で、自分のお店を検索結果の上位に表示させたり、オススメ表示をしてもらったりといった、販売促進をするための費用を広告費として計上しているのでしょう。
ただし、このような機能や宣伝方法はECモールに限りません。サイトの種類を広げれば更に広告費として計上することができるのではないでしょうか。
例えば求人サイトで自社の求人情報を掲載するのは広告宣伝費に当たります。リアルに置き換えると、新聞の折込チラシやフリーペーパーへの掲載になりますので、求人サイトに掲載することも同じように広告宣伝費として考えるのが妥当ですよね。
新型コロナウィルスの影響で今後はどうなるかわかりませんが、少なくとも2019年時点では求人倍率は高水準で安定していました。人手不足から求人広告に費用を投じる企業も多く、その中でもネットの利用が一番多いです。
求人サイトに掲載する費用もネット広告の中に含めるすれば、さらに広告費の数値は伸びることでしょう。今後もネット広告の勢いは留まることがなさそうですね。
オウンドメディアを作成して新たな収益源にしよう
近年、自社でオウンドメディアを立ち上げ、新たな収益源を作る企業が増えています。オウンドメディアとは簡単に言えば企業が所有する自社メディア(情報サイト)になります。
朝日新聞社が運営するオウンドメディア「withnews」が2020年2月に過去最高となるPV数を獲得したといったプレスリリースがありました。
参考:朝日新聞社が運営するオウンドメディア「withnews」が2020年2月に過去最高となる月間8200万PVを達成
withnewsは、ユーザーの日々気になっていることやリクエストをきっかけに、記者が取材して記事にするサイトです。利用する側としてはただのニュースサイトですが、収益化の方法として広告モデルを採用しています。
企業が訴求したい商品やサービスを記者が取材し、記事にします。ただの売り込み記事ではなく、実際に体験した様子などを掲載するため、ユーザーの興味を引きつけることが出来ます。
withnewsは有名ライターを使用したプランもあるため、SNSなどで拡散しやすいです。しかも、過去に書いた記事はずっとネット上に残るため、使い捨てではありません。依頼する企業にとっても大変メリットが高い宣伝方法になります。
このような手法を「ネイティブ広告(または記事広告)」と呼びます。サイトのアクセス数が増えれば増えるほどネイティブ広告を利用する企業が増えるため、マネタイズしやすいビジネスモデルでもあります。
本業のみだと事件や事故など、何かあった時に経営が傾いてしまうかもしれません。しかし、オウンドメディアを作っていると、インターネットがある限り潰れることはありません。
ネット広告費が増え続けている今、新たな収入源となるオウンドメディアを作る必要があるのではないでしょうか。
オウンドメディアは小規模でOK
オウンドメディアを作るのに莫大な費用がかかったり、高スキルを持つ人材が必要だと思っていませんか?
上記でご紹介したwithnewsをはじめ、有名なオウンドメディアはデザインもシステムも凝っているサイトが多いため、作るのに多大なコストがかかると思っている人が多いです。しかし、お金も人手も最小限で構いません。誰でも無料から始められます。
例えば、無料ブログサービスに登録し、自分(または社員)が情報を発信していけば、デザインやシステムの費用はかかりません。必要最小限のコストでオウンドメディアを立ち上げることができるでしょう。
オウンドメディアを立ち上げるにあたり、必要なのはコストではなく「何を発信するか」です。それが見つかっているのであれば、デザインもシステムもツールも気にすること無く、誰でも始めることができます。
求人サイトもオウンドメディアとして活用できる
当サイトで扱っている求人サイトもオウンドメディアとして活用することができます。自社の事業所や店舗が複数あるのなら、その求人を掲載するメディアとして活用することもできますし、取引先の求人情報を掲載しても良いでしょう。
例えばシャンプーやヘアケア商品を扱う会社が、取引先である美容室の求人を掲載した「美容専門の求人サイト」を作っても良いでしょう。ただ求人情報を掲載するだけでなく、美容に関する情報も掲載することで、求職者以外のユーザーも取り込むことができます。
通常、オウンドメディアを作る時は何を発信するか情報に困るものですが、求人サイトであればメインは求人情報であるため、ネタに困ることもないでしょう。継続的に情報を発信することができます。
マネタイズの方法は、取引先に掲載料をもらうか、サポートの一環としてサービスに組み込んでも良いでしょう。求人サイトの利用者が増えれば、サイト経由で新たな顧客が見つかるかもしれません。
求人サイト自体は現時点でも多くありますが、自社のオウンドメディアとして運営しているところは少ないです。オウンドメディア化することができれば、既存の求人サイトにはない、独自路線でアピールすることができるでしょう。
まとめ
今回はネット広告費の躍進とオウンドメディアの活用についてご紹介しました。2020年以降もますますネット広告費は増加し、その他の媒体は減少していくと考えられます。
新型コロナウィルスの影響で、自宅待機やテレワークを余儀なくされている企業が増えていますが、一方でネットに対応していない企業は苦しい立場を強いられているのではないでしょうか。
幸か不幸かネットは対面することがなくビジネスを完結することができるため、パンデミックのような状況にも強い業種だといえるのかもしれません。ネットができる環境であれば、世界中から注文を受けることができます。
インターネットはIT・Web系の会社だけが使うものではありません。どんな業種・業界の会社も利用することができます。性別も年代も関係ありません。誰でもアイディア次第で成功できる媒体です。
これまでパソコンやIT機器が苦手でネットの利用を避けていた方も、未来への投資としてこれから活用してみてはいかがでしょうか。自社のノウハウを生かしたメディアを作ることができれば、きっとピンチの時に助けてくれるでしょう。