ユーザーからの連絡を受け付けるために設置するお問い合わせフォーム。どこのサイトにも必ずあると言っていいコンテンツですが、そのお問い合わせフォームに知らない業者から営業メールが届くことがあります。
当方の事業用サイト(rd2.jp)にあるお問い合わせフォームにも、全く知らない業者から商品やサービス紹介に関する営業メールがよく届きます。最近は特に多くなった印象を受けます。
事業用サイトは2005年に作ってからほぼ放置状態で、全く更新していません。事業用サイトよりもJOB-PLACEのようなサービスサイトを重視しているので、事業用サイトはプロフィール紹介程度に留めています。
ですので、問い合わせフォームも古いままで、「名前」「会社名」「メールアドレス」「問い合わせ内容」を入れる程度のものです。だから簡単に問い合わせできるというのもあるでしょう。
問い合わせフォーム自体を入れ替えることはたやすいのですが、それでは根本的な解決にはなっていません。送ってくる人は(自動ソフトを使っていない限り)どんなフォームでも送ってきます。
ただ、問い合わせフォームに営業メールを送ってくる事自体を悪いと思っているわけではありません。筆者が知らない商品やサービスもあるでしょうし、良いサービスがあれば利用したいとも思っています。
なにより、筆者自身が問い合わせフォームから営業メールを送ったことがあります。自分がやったことがあるのに、他者を頭ごなしに否定することはできません。
しかしながら、事業用サイトに届く営業メールはどれもこれも「見たい」と思える内容ではありません。冒頭の3行ほど目を通したら即ゴミ箱行きです。一方的な内容のため、返信もしません。
おそらく筆者以外の方も同じ行動をとるのではないでしょうか?しかし、そんな営業メールでも少し工夫することで見てもらえるようになり、返信率が高まるようになります。
そこで今回は「問い合わせフォームからの営業メールを見てもらえるコツ」としてその方法や考え方についてお話したいと思います。
駄目な営業メールの例
営業メールの内容はほぼ決まっています。ほとんどの方が以下のような内容の営業メールを送ってきます。
○○御中 ご担当者様
○○社の○○と申します。
突然のご連絡失礼します。
この度は弊社で行っている○○についてご紹介したいと思います
~~~
あなたもこのような書き出しではじまる営業メールを受け取った経験があるのではないでしょうか?これは俗にいう「営業テンプレート」でよく使われる内容です。テンプレートだけに一般的な書き方だといえるでしょう。
ただ、一般的であるがゆえに誰もが見飽きています。自己紹介も早々にいきなり売り込みをされるわけですから、どんなに素晴らしい商品であっても見る気になりません。
おそらくそれは営業メールを送る側も認識していることだと思います。メールの質よりもただ作業として送っているだけなので、あらかじめ作成していたものを宛先だけ変えてコピペしているのでしょう。
しかし、それでは全くの無駄です。いくら「100件送って1件でも返事があれば良いや」と思っていたとしても、それだけのサイトに問い合わせフォームから営業メールを送るのは、時間の無駄以外の何物でもありません。
せっかく仕事として営業メールを送るのなら、ただテンプレートに当てはめたコピーメールを送るよりも、反応率が高い・見てもらえるメールを送ったほうが有益です。
「そんな簡単に反応してもらえるメールが書けるわけ無いだろ!」という声が聞こえてきそうですね。たしかに簡単に書くのは難しいかもしれません。しかし、メールの内容を工夫して反応率を上げることはできます。
100件送って1件返信があるかないかのメールを送るより、10件送って3件返信される方が効率が良いとは思いませんか?それには難しいテクニックも知識も必要ないのです。
営業メールの反応率が上がるたった1つの方法とは
それではいきなり結論から書きます。それは「売り込まずに感想を送る」ということです。会社の商品やサービスの紹介をするのではなく、お客さまのサイトを見た感想を送るのです。
人は全く知らない人に関する情報は欲して無くても、自分に関する情報は気になるものです。なにより、「誰かに見てもらいたい」からサイトを運営しているわけです。人の意見は気になります。
「そんな馬鹿な!」と思われた方は、サイトやブログを作成した時のことを思い出してみてください。友人・知人にサイトを知らせませんでしたか?そして感想を聞きませんでしたか?
あるいは、作った後に検索エンジンやSNSでエゴサーチ(自分の名前やサイトについて言及している人がいないか調べる行為)をしたりしませんでしたか?
全くそういうことをしたことがないという方でも、アクセス数は気にすると思います。サイトを作ったりブログを書いたりしている以上、他人に見てもらいたいし、何かしら反応を得たいものです。
ですので、まずはじめにサイト運営者が求める情報(評価・感想)を提供するのです。運営者は自分に関することですから、必ず目を通します。そしてその内容に対して意見があれば返信してくるようになります。
素人意見ほど反応率が高まる?
「感想を送れと言っても自分はWebディレクターでもなければデザイナーでもない。コピーライティングの知識もないし、メールも苦手だ。心を掴むメールなんて送れるわけがない」
そんな風に思って諦めていませんか?これは全くの誤解です。技術的な説明が必要でもなければ、心を掴むメールを送る必要もありません。誤字脱字に気をつけていただければ、短文メールで構いません。
重要なのは「心から感想を伝えようとしているか?」です。心にもない言葉を使い、無理やりヨイショするような感想メールを送っても意味がありません。そんなメールはあっさり見抜かれます。
あなたがいくらWebに詳しくなくても、はじめて見るサイトには何かしら感想が思い浮かぶはずです。その感想を簡単に文章としてまとめ、自分の言葉で伝えればいいだけなのです。
そうは言ってもよくわからない方がいると思いますので、例を出します。たとえばあなたがこのJOB-PLACEを運営しているオーナーだとします。
たまたまこの記事にたどり着いた方は、お手数ですが3分ほどサイト内を巡回してみてください。ヘッダー上部にあるリンクを辿っていただけると分かりやすいかもしれません。
そうすると色んな感想が浮かぶと思います。
- 求人サービスを扱っているサイトだ
- 青色でスッキリしているデザインだ
- 料金が業界でも安いと謳っている
- レスポンシブデザインをウリにしている
- ブログを定期的に更新している
などはパッと目に付きやすいのではないでしょうか?これらはWebの知識がない方でも感想として言いやすいのではないでしょうか。筆者がサイトを見てもらった方も似たような感想をおっしゃっていました。
ではこの感想を元に営業メールを作ってみましょう。たとえばあなたが営業のアウトソーシングを提案する目的で営業メールを送りたいとします。その場合、以下のような感想メールが考えられます。
いくつかページを拝見しましたが、青色でスッキリしているデザインでサービス内容をわかりやすく説明されていますね。ブログもよく更新されているようで、求人に関して知らなかった情報を得ることができました。
私は御社のようにWebサービスを頑張っている方向けに営業のアウトソーシングをお手伝いするサービスを提供しているのですが、御社のサービスがレスポンシブデザインで業界最安であるならもっと販路を増やせるのでは?と感じました。
弊社は○○というサイトを運営しており、お客さまの販路を増やすお手伝いをしています。もし今後、何かお手伝いできることがあればご相談ください。弊社のサイトはこちらです。
(会社名:サイトURL)
またブログを見に来させていただきます。この度は突然のメール失礼しました。
いかがでしょうか?だいぶ簡略的な内容ではありますが、感想メールとしては必要最低限の内容だと思います。特別、技術的で専門的な内容でもありません。誰でも書けると思います。
もし筆者がこういった感想メールをもらったら、相手が営業目的だとわかっていても目を通していたと思います。買わないまでも、会社サイトにアクセスし、少なくとも全く読まずにゴミ箱行きはなかったでしょう。
そして「ご感想ありがとうございます。サイトの集客で手が足りない時はまた相談させていただきます。その時はお願いします。」というようなメールを送っていたかもしれません。
今回は当サイトを例に説明しましたが、もしあなたがサイトを運営しているなら、どんな感想メールをもらったら読みたくなるか考えてみてください。それが自身で営業メールを送る時の参考にもなります。
ネットでも縁を大事にする
営業されている多くの方が「最初のアポ取りが一番重要」だと考えています。最初にアポイント(約束)を取り付けることができれば売りやすくなるからです。
そのため、アポを取ることに集中しすぎて強引な説明をしたり、売り込みだと隠したりするような人がいます。場合によっては、アポが取れそうにないとわかれば自ら関係を遮断する(電話なら切る)方もいます。
同じ人間相手にこのような失礼な行動ができるのも、最初のアポ取りに全力を注いでいるからです。「どうせ短い付き合いだし、売ったもん勝ち」だという思想が根底にあるからです。
これはリアル営業(オフライン営業)だけでなく、ネット営業でも同じです。問い合わせフォームから売り込みをしてくるのも、「引っかかる人がいればラッキー」程度に思い、相手のことを考えていないからです。
もし、営業先の人と長い付き合いをしなければいけないとしたらどうでしょう?いきなり売り込みメールを送ったり、無理やり約束を取り付けたりするような失礼な行動はしないはずです。
リアル営業やテレアポならその場限りの関係になりやすく、「売ったら終わり」という側面もあるかもしれません。しかし、ネットは違います。ネット営業はメールが基本ですから、形として残るのです。
その時は忙しくて興味がなかったとしても、後から見返して購入するかもしれません。実際に筆者も時間がある時にメールを見返してサイトに訪れ、購入したり仕事の発注をしたことがあります。
最初から売り込みメールを送られたら即ゴミ箱行きで見返すこともありません。しかし、最初のやりとりで嫌悪感を感じなければ後からいくらでも見返すことは出来るし、売れるチャンスは残るのです。
ネットを利用するので相手の顔は見えませんが、画面の向こう側には人間が存在します。メールという文字のやり取りであっても、”縁”を大事にすることで、その縁が実を結ぶこともあるのです。
縁を大事にするためにも、自分勝手な営業メールを送るのではなく、相手の立場に立ったメールを送るようにしてください。そういった心がけが後の成果につながります。
まとめ
営業メールについて書かれている書籍やサイトの多くは、「どういった営業メールを送ればいいか?」というテクニック面に偏った説明が多いです。その方が読者もわかった気になるからでしょう。
しかし、いくらテクニックを駆使しても営業は顧客あってのものです。顧客の感情をないがしろにした営業をすれば、どんなテクニックを使っても効果はありません。
筆者も営業をしたことがあるので焦る気持ちはわかります。売上が伸びないと目先のテクニックに走り、顧客の感情を無視した一方的なセールスをしてしまったこともあります。
ただ、それだと全く意味がないということも学びました。意味がないばかりか、お客さまのヘイト(負の感情)を集め、精神的に参ってしまったこともあります。
どうせ仕事をするなら人に喜ばれる仕事をしたいです。人に好かれたいです。そのためにはまず自分から人に好かれる行動をし、相手のことを好きになる努力をしなければいけないと思います。
もし、あなたが求人サイトの営業活動で問い合わせフォームから営業メールを送ろうと思われているなら、今回の記事を参考に「どんな営業メールを送ればお客さまに好感を得られるのか」を考えてみてください。
少なくとも無差別にコピペメールを送るような無駄なことはしないでください。それは自分も相手も傷つくだけで、何も得しない営業方法です。