求人情報にある仕事内容や求職者に対するメッセージ。企業によって内容も書き方もさまざまですが、求人サイトによってある傾向があります。それは「求人文章が長い・短いで分かれる」ということです。
ある求人サイトでは文章が長く詳細に記載されていますが、別の求人サイトでは文章が短く簡潔で、条件を並べるのみとなっています。筆者が感じた印象として、転職系の求人サイトでは文章が長く、アルバイト系の求人サイトでは短いかもしれません。
ただ、文章が長いからといって、良い・親切・真剣というわけではありません。文字が多すぎると読むのに時間がかかるし、目も疲れます。求職者に利用調査アンケートをした時も、そのような意見がありました。
ですので、一概に文章の長さで求人情報の質や募集している企業のやる気を測ることはできませんし、求人サイトの良し悪しを決めてはいけません。
ただし、これから求人サイトを構築しようとされるあなたには、どちらのスタイルで求人情報を掲載するのか決めていただきたいです。企業によって文章の長さが異なると、見栄えが悪くなり、統一感が出ません。格差も生まれます。
そこで今回は「求人文章は長い方が良いか、短い方が良いか」をテーマにして、それぞれのメリット・デメリットについて解説したいと思います。
求人文章が長い・短いとは
まずはじめに具体的な例をご紹介します。以下の文章をご覧ください。求人情報のメインメッセージに当たる部分です。
美容師・スタイリストを募集します。お客さまに対するカットやスタイリングの提案が主な仕事になります。
サロン内は個室感覚の落ち着いた雰囲気で、リラックスして働くことができます。スタッフみんな仲がよく、明るく楽しんで働いています。
ぜひ優しいスタッフと一緒に働きませんか。ご応募お待ちしています。
極端に短いという文章ではありませんが、約140文字と文字数としては少なめです。求人メッセージとしては短文になります。一方、以下の文章をご覧ください。
美容に興味があり、向上心と熱意を持って働ける美容師・スタイリストを募集しています。
当店は駅から徒歩5分の場所にあり、デパートやスーパーなどが立ち並ぶ繁華街にあるサロンです。そのため通勤も便利で雨の日でも濡れる心配はありません。仕事が終わって、お買い物をしてから帰宅することも可能です。
お客さまは仕事帰りやお買い物の後に、気軽に立ち寄ってくれます。たまに施術が目的ではなく、「近くまで来たから○○さんに会いに来ました」と言って来店してくれる方もいます。
リピーターになっていただけるお客さまも多く、気に入ったスタイリストを指名して予約したり、来店される方も多いです。お客さまに愛されるお店づくりを目指しているので、とてもありがたいです。
サロン内は個室感覚の落ち着いた雰囲気で、お客さまがリラックスできる環境になっています。また、お客さまへのサービスに集中することができ、スタイリストとしての腕を存分に発揮できる環境でもあります。
お客さまとお話しながら、カッコイイ・カワイイスタイルを提案できるようにしているため、幅広い層から支持を得ています。ファンができるスタイリストもいるんですよ。
福利厚生も充実していて、スタッフ同士の交流を深めるために、年に2回の社内旅行を実施しています。そのためスタッフはみんなが仲良く、明るく楽しんで働いています。初年度から有給休暇がもらえるので、仕事とプライベートとの両立も可能です。
スタッフ一同であなたと一緒に働く日を楽しみにしています。ご応募お待ちしています。
こちらは約640文字あり、ボリューム満点です。前半の文章は美容室の求人を想定して筆者が考え、後半はライターに依頼しました。かなり詳細な内容になっており、求人に対する熱意が伝わってくるのではないでしょうか。
ただ、冒頭でも述べましたが、文章が長いからと言って良いわけではありません。2つを比較していただくと、「自分は短い方が読みやすいし、頭にも残る」という方もいると思います。短い文章でも最低限の情報は伝えているし、悪いわけではないのです。
そこで次の項目ではそれぞれのメリット・デメリットについてお話します。
求人文章が長いことによるメリット
求人文章が長いことによるメリットは主に3つあります。「求職者に伝わりやすい」「求人サイトの質が上がる」そして「SEO効果がある」です。それぞれ解説します。
求職者に伝わりやすい
求人文章が長いのは企業の熱意や想いを詳しく記載してあるからです。「どんな人材が欲しいのか?どんな会社なのか?」ということを詳細に記載することで、求職者にも伝わりやすく、応募を促進します。
求人サイトの質が上がる
求職者が企業の熱を感じ取ることができれば、それは求人サイトそのものの評価にもつながります。情報を多くすることで、「このサイトはわかりやすいサイトだ」となり、他の求人サイトとの差別化にもなります。
SEO効果がある
そしてもっとも強いメリットとして「SEO効果にもつながる」ということです。文章量が多いと必然的に滞在時間も長くなるため、検索エンジンの評価も高まります。また、さまざまなキーワードも含まれるため、検索結果でヒットされる可能性も増えるでしょう。
求人文章が長いことによるデメリット
一方、求人文章が長いからといって良いことばかりではありません。長くすることで発生するデメリットもあります。
求職者の負担が増える
求職者は1つの職種・条件だけで求人を探しているわけではありません。いろんな求人情報を見て自分なりに比較検討しています。ですので、文章が長いと読むのに時間もかかり、目も疲れます。
文章作成のコストがかかる
企業が自ら長文を提供してくれれば良いのですが、文章のチェックや作成の代行をしている場合、文章作成の時間・コストがかかります。
モバイルに不利
文章が長いとスマートフォンなどのモバイル端末で読みづらくなります。スクロールする回数が増え、離脱の原因になるかもしれません。
求人文章が長い求人サイトを紹介
求人文章が長いことによるメリット・デメリットを説明した後は、実際に長い文章を掲載している求人サイトをご紹介します。
なお、判断の基準は「求人メッセージ」に関する部分の文字数で判断しています。求人サイトによってコンテンツの作り方が異なるため、筆者の独断と偏見で判断させていただきますので、ご了承ください。
■エン転職
求人メッセージや仕事内容の文章は長く、オリジナル要素が満載です。形式的な募集内容にとどまらず、企業ごとの特色がでているお手本のようなサイトです。
■DODA
求人PRに画像形式の文章を掲載してアピールしています。DODAの所属ライターが掲載企業にインタビューしたものもあり、バラエティに飛んでいます。
Green
求人詳細、企業詳細、PR・インタビューなど幅広いコンテンツを用意し、それぞれ詳細に記載しています。求人情報のページと言うより、ひとつのサイトのような形式です。
求人文章が短いことによるメリット
これまでは求人文章が長いことに対して説明しましたが、短いから駄目ということはありません。求人文章が短いことによるメリットも多分にあります。
かんたんに書ける
まず一番のメリットは「文章を書くのが楽」ということです。要点だけ伝えるのなら文字数は必要ないので、短い時間で書くことができます。作成コストもかからないでしょう。
読みやすい
文章が短いと読むのも苦ではありません。瞬時に判断することができるため、多くの求人と比較したいユーザーにとっては助かります。
加筆・修正しやすい
文章が短いと後から加筆しやすくなります。最初は短くても後から追加すれば良いのです。
求人文章が短いことによるデメリット
求人文章が短いことによるデメリットもあります。特に求人サイトの運営をする上で致命的だと感じるものもあります。
記憶に残りにくい
すぐ読めるものは記憶に残りづらいです。他の求人情報と似た内容になり、比較も困難です。企業そのものではなく、どうしても給与や勤務時間など条件の比較になってしまうでしょう。
トラブルの可能性
どんな人材が必要なのか詳細に説明していないことで、求職者・企業の双方で「思っていたのと違っていた」というトラブルが発生します。トラブルが発生することで、求人サイトに対する評価も低くなります。
SEO効果がない
文章量が低いページはSEO的な評価を得られにくいです。読むのに時間がかからないため、滞在時間も伸びません。検索でヒットする可能性も限られます。
求人文章は長い方が良い!
求人文章を長くするか短くするかについて解説しました。それぞれメリット・デメリットはありますが、筆者の経験則として「長い方が良い」と思っています。やはり短いとWeb制作の観点から、サイトの質が保てないからです。
※もちろん長さには限度があります。ただやみくもに文字数だけ増やして、文章を長くすることはいけません。
文章を書くのは大変ですし、外注を使えばコストもかかります。しかし、コストの問題は「オプション料金」として請け負うことができますし、以下のような外注サービスを使うこともできます。
また、多くの文章を扱うことで、あなた自身のライティングスキルも向上するようになります。最初は大変かもしれませんが、Webサイトを運営するということは文章作成が不可欠なので、ぜひご自身でも作成していただきたいです。
求人サイトの使命は「求職者と企業の正しいマッチングを提供する」です。それを行うには、できるだけ詳細な文章を掲載し、意思疎通を図れるようにする必要があるのではないでしょうか。
まとめ
JOB-PLACEの求人システムは長い文章に対応できるような設計になっているのですが、残念ながらお客さまに納品させていただいた求人サイトを見ると、求人文章が短いサイトが多いです。
文章を書くのは大変だし時間もかかります。書きたいことやネタがあっても上手く表現できないかもしれません。筆者もブログの執筆を停滞することがあるので、その気持は良くわかります。
しかし、後発の求人サイトが先発の求人サイトに勝つには情報量を多くすることしかありません。いくらデザインが綺麗でも高機能な求人システムを導入していても、情報量の多さには勝てないのです。
ただでさえ後発の求人サイトは先発と比べて情報量が少ない状態です。なのに、追加する求人情報の文章が短いままでは求職者にアピールできないです。せっかくアクセスしてもらっても応募もなく、離脱してしまうでしょう。
ですので、これから求人サイトの運営を考えられている方は「どうやって文章を増やすか」「どんな文章を掲載すれば良いのか?」ということを考えてください。これは求人文章だけでなく、サイト全体に関わることです。
できればあなた自身が文章作成をし、学んだ知識を自身のクライアント(企業)に伝えていただければと思います。それもまた求人サービスの付加価値として喜ばれるのではないでしょうか。